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「中川皓太・大勢・マルティネス」巨人連覇のカギを握る「勝利の方程式」“阿部監督版JFK”のキーマンとなる男とは?《セパ交流戦開幕》
posted2025/06/03 17:00
巨人連覇のカギを握るリリーフ陣。(左から)中川皓太、大勢、ライデル・マルティネス
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
交流戦が開幕。シーズンはセカンドステージに突入し、これから夏場に向けてペナント争いがいよいよ本格化していく。
そんな中で巨人の序盤戦を振り返ると誤算は多かった。
最大のアクシデントは不動の4番・岡本和真内野手の長期離脱なのは言うまでもない。一方、投手陣もメジャー移籍した菅野智之投手に代わり、名実ともにエースとして一本立ちが期待された戸郷翔征投手が、開幕から状態が上がらず6月2日現在(以下同)でまだわずか1勝止まり。菅野の代役として獲得した田中将大投手も、ほぼほぼ機能しないままに二軍暮らしが続いている。
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それでもチームは交流戦前まで28勝24敗1分けと4つの貯金で、首位阪神に3ゲーム差の3位をキープしている。
打線では2年目の泉口友汰内野手や24歳の増田陸内野手など若手の躍進が、岡本離脱の誤算をカバーする力となった。投手陣も山﨑伊織投手が開幕から36イニング無失点のセ・リーグ記録を達成し、5月23日のヤクルト戦では赤星優志投手が自身初の完封勝利。また24歳のサウスポー・井上温大投手もローテーションを守って好投を続けるなどヤングパワーが誤算をカバーしている。
マルティネスの“完全守護神”ぶり
その上で好位置キープの一番の力となっているのは勝てるゲームをしっかり勝ち切ってきたこと、要はリリーフ陣の奮闘にあると言っていいだろう。
言うまでもなく大きかったのは、今季からクローザーに座ったライデル・マルティネス投手の存在だ。交流戦まで24試合に登板して救援失敗はなし。リーグ最多タイの20セーブ(1勝)で失点0の防御率0.00という“完全守護神”ぶりは、もはや「さすが」のひとことで多くを論評する必要はないはずだ。
そしてそのマルティネスに繋ぐセットアッパーとして起用されてきたのが、昨年までの守護神・大勢投手だ。大勢も開幕からフル回転してきた。5月30日まで22試合に登板して失点3の防御率は1.19。勝ち星も5つ付いて黒星はなしの16ホールドという数字は文句なしだ。
ただ、何とか凌いできたが、ここにきてそんな大勢に少しだけ翳りが見えてきているのも見逃せないところである。5月16日の中日戦では同点の8回に登板。上林誠知外野手の本塁打を浴びて勝ち越し点を許しリリーフに失敗したが、直後に味方打線が逆転してくれて勝ち投手になっている。その後も21日の阪神戦では2安打と盗塁で2死二、三塁、25日のヤクルト戦でも2安打と四球で満塁と、後続を抑えて失点はしなかったものの劇場型のマウンドが続いていた。

