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中日・井上一樹監督「星野仙一は戦国武将なら織田信長…殺してしまえ、ってね」あえての“生意気発言”で闘将の懐に飛び込んだ「秀吉流」の師弟愛
 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2025/06/02 11:05

中日・井上一樹監督「星野仙一は戦国武将なら織田信長…殺してしまえ、ってね」あえての“生意気発言”で闘将の懐に飛び込んだ「秀吉流」の師弟愛<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

ホームランを打った井上を出迎える星野監督(1999年)

「戦国武将なら織田信長」鬼の顔

 グラウンドでは厳しい反面、ふとした時に優しい言葉をかけてくれたり、きめ細かく贈り物をするなど、人の心をつかむのが上手い監督でもあった。

「普段はお面を被ったぐらい鬼みたいな顔をして怖いですよ。戦国武将で言えば、織田信長。鳴かぬなら殺してしまえ、ってね。でも、ユニフォームを脱ぐと、その表情が変わる。目尻が下がってニターッて笑うんです。そのギャップに男が男にキュンとするわけじゃないけども、あの人が喜んでる姿を見たい、あの監督を笑わせたろ、という気持ちになるんですね」

 星野監督が「織田信長」というなら、その懐に飛び込み、出世街道を歩んだ井上監督は「豊臣秀吉」ということになる?

織田信長に仕えた“秀吉”の思い

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「まあ、そうかもしれませんね。星野監督の言われたことに対して、何と返せばいいのかという計算は早かった。それだけは“暗算三段”でしたよ(笑)。でもね、本当に星野監督からは色々なことを学ばせてもらった。それは今に生きているし、ここからその教えを継承していきたいと思っているんです」

 永遠の恩師は、2018年1月に70歳でこの世を去った。井上監督は毎年、キャンプイン前など節目で愛知県内にある墓を訪れて手を合わせている。今春の墓前での報告は、中日の監督としてドラゴンズ再建の決意を示す、特別な時間になった。〈つづく〉

#3に続く
「冷たい人…実はそう思っていました」井上一樹監督が明かす「監督になって分かった」“落合流”の凄み…中日再建へ背中を押した立浪和義の言葉
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