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「正直、中日はスカウトがダメ」中日OBが苦言、“なぜドラゴンズ3年連続最下位?”「ドラ1石川昂弥が物足りない」「30本打てる外国人を2人獲れ」
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遠藤修哉Naoya Endo
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/05/30 17:52
今季から中日を指揮する井上一樹監督(53歳)。3年連続最下位のチームを浮上させられるか
投手がどれだけ踏ん張っても、援護がなければ勝ち星はつかない。ベンチも、継投に神経をすり減らすばかりになってしまう。打線に破壊力があれば、試合展開はもっと楽になる。
「得点力があれば、継投ミスやエラーも取り返せる。でも今は、1点のリードを守り切るしかない。投手にかかる重圧が大きすぎるんだよ」
「石川がもっと頑張らなきゃダメだよ」
この現状を生み出した責任は、やはりスカウトや編成にあると武田氏は繰り返す。
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「スカウトと編成のせいだよ。責任をもって、次のレギュラーをどう育てるか考えないと。ドラフトも思い切って、上位で柱となる野手を取るべきなんだよ。たとえば今季活躍しているドラ2の西武の渡部聖弥やドラ1のオリックスの麦谷祐介、明治の後輩だけど、楽天のドラ1の宗山塁のようなね」
1年目から一軍で出場できる打者。そういった人材を、今の中日は確保できていない。
「野手は線が細い、いわば同じようなタイプばっかり。だからこそ、ピントがずれてるって言いたくなるよ」
そんな武田氏が“注目している若手”として名を挙げたのは、地元・愛知出身・高卒6年目の石川昂弥だった。
「石川がもっと頑張らなきゃダメだよ。松中(信彦)コーチも言ってたけど、スイングが弱い。もっと体をつくって、押し込めるバッティングをしないと」
期待を背負いながら、故障もあって伸び悩む石川。だが、石川が主軸に育たない限り、チームの未来は開けないという。
「結局ね、プロって4年でレギュラー獲って、リーダー格にならなきゃダメなんだよ。出てくるやつは、どこでもレギュラーになれる。そうじゃないやつは、いつまで経っても一軍半なんだ」
強いチームには、常に“核”となっている若手がいる。1999年の優勝時も、福留や岩瀬が1年目から一軍に食い込み活躍した。そして彼らが、先輩に刺激を与え、チームを活性化させた。
「今はそれがない。若手がベンチで黙ってるだけじゃダメなんだよ。もっと自分を出して、競争しないと」
武田氏は最後に繰り返した。
「強くなるのは簡単だよ。30本打てる外国人を2人取る。問題はそれができてないってこと。99年だって、ゴメスと山崎で64本打ってる。今のチームには、それがいない」
来年にはホームランテラスの設置が予定されているが、そこにも武田氏は手厳しい。
「相手チームのほうがホームランが増えちゃうんじゃない? やっぱり大砲の確保が急務だよ」
<全3回/《消えた中日トレード》編、《1999年ドラゴンズ》編から続く>


