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「ノミの心臓と言われているので」160キロの剛腕・齋藤友貴哉が日本ハム入団後に発した言葉の真相…サヨナラ被弾後「新庄剛志監督の談話に武者震い」 

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2025/06/21 11:01

「ノミの心臓と言われているので」160キロの剛腕・齋藤友貴哉が日本ハム入団後に発した言葉の真相…サヨナラ被弾後「新庄剛志監督の談話に武者震い」<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

日本ハムの160キロ剛腕・齋藤友貴哉。2年前の入団会見後に「ノミの心臓と言われて…」と発言したがその真意とは

 医者が患者に処方箋を出すように、新庄は自信を失っていた齋藤に同じ言葉をくり返して聞かせることで、少しずつ傷を癒していったのである。

新庄一流のアドバイス「ゆっくり動け」

 齋藤はあるとき、新庄からこんなことも言われた。

「マウンドではゆっくり動け」

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 それは齋藤がマウンドでみせるしぐさを指摘したものだった。齋藤には窮地に立たされたとき、手で顔を触る癖があり、落ち着きがない印象を与えていた。

 貫禄は冷静な者だけが身に纏うオーラである。名将はピンチでもベンチで身じろぎしない。大打者は三振してもゆっくり歩いてベンチに退く。

 投手はゆっくり動くことで、18.44m先で対峙する打者に堂々たる姿を示す。そして、なによりも齋藤自身の気が急くことがなくなる。それは「ノミの心臓」と揶揄されてきた齋藤が悠然と振る舞い、風格を備えるための新庄一流のアドバイスでもあった。

 齋藤はゆったり歩いてマウンドに上がることを心がけた。滑り止めのロジンをすっと置くようになった。そんな何げない所作で、心身を整えられるようになった。

 チームは交流戦を負け越し、逆風のなかを航行したが、暑い季節に入ると息を吹き返した。7月を勝ち越し、8月には2位まで浮上。クライマックスシリーズ進出に向けて順調に白星を重ねていた。齋藤も登板を重ねることで汚名をそそいでいった。そんななか、またも、あのトラウマがフラッシュバックしてきた。

<続く>

#3に続く
自作自演のピンチ脱出劇に新庄剛志監督が絶妙ニックネーム「明日から“さいこう ゆきや”に」日本ハム齋藤友貴哉の告白「自分が生まれ変われた試合」
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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