「ケビンのパッションを引き継いで…」Bリーグでプレーオフ決勝進出…宇都宮ブレックス躍進の陰に“46歳で急逝”ヘッドコーチの存在アリ 

「選手一人ひとりに声をかけるのも上手」

　加藤の記憶に鮮明に残っているのは、選手のハートをつかむために個別に声をかける指揮官の姿だ。

「チーム全体のミーティングで話すときはもちろん、選手一人ひとりに声をかけるのも上手でした。昨シーズンなども（それ以前に比べて出番が減っていた鵤）誠司に対して『俺はこのチームはお前に支えられていると思っている』というような言葉で信頼を伝えていましたから」

　そんなブラスウェルにとって、昨シーズンのチャンピオンシップの準々決勝で千葉ジェッツに敗れたという事実は、とてつもなく大きいものだった。シーズン終了後に佐々宣央HCが契約満了で円満にチームを離れると、その後を任されたのがブラスウェルである。

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　そして、そのタイミングで招かれたのが、現在はHC代行を務めているジーコ・コロネルだ。そのコロネルに対しても、ブラスウェルは最初の会合で「ジェッツに敗れた借りを返したい」という熱い想いを伝えている。

情熱家だったブラスウェルHC　©AFLO

　今シーズンの最初の活動日、ブラスウェルHCは昨シーズンの最後の試合となったジェッツ戦の映像を選手たちに見せた。そのうえで、試合に敗れた原因がどこにあったのかを、一つひとつ提示していった。

　1勝1敗で迎えたGAME3は、規定の40分を終えて同点。さらに1度目の延長戦（5分間）でも決着がつかず、2度目の延長戦の末に敗れた。そんな重い試合の映像を選手たちに見せながら、ブラスウェルHCは熱弁を振るった。

「オフェンスでもディフェンスでも、俺たちはやるべきことを遂行できなくなっていた。遂行力がクソだったんだよ！　そういうことがないように、一つひとつの練習から良い『習慣』を身につけて、変えていくぞ」

　そして、今シーズン。指揮官が天国から見守るなかで、ブレックスは昨シーズンにつまずいた準々決勝で2連勝。シーホース三河を下した。

　続く準決勝では、1年前と同じ宇都宮市の日環アリーナで、再びジェッツと対戦した。今回のシリーズも3戦目までもつれる、タフな対戦となった。そのGAME3では試合終盤に怒涛の追い上げをうけた。

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