プロ野球PRESSBACK NUMBER
「清宮幸太郎か、村上宗隆か?」元巨人スカウト部長がいま明かす“怒られた”ドラフト…じつは指名チャンスあった周東佑京「欲しかった」なぜ断念した?
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph byTakuya Sugiyama
posted2025/05/26 11:02

2017年ドラフト会議で7球団競合の末、日本ハムに入団した清宮幸太郎
「『巨人のスカウトは馬鹿なのか?』『バランスがおかしい…』とか散々書かれましたよ。でも、1回のドラフトのバランスを考えても仕方ない。チーム編成のバランスをどうするかが問題です。GMから事前に『捕手を2人獲ってくれ』と言われていましたし、チームによって需要は違いますからね」
清宮、村上を抽選で外した巨人は中央大学の鍬原拓也投手を指名。しかし、期待の右腕は新人合同自主トレの初日から右ヒジ痛で別メニュー調整となり、開幕を三軍で迎えた。
「GMに『調査不足』と怒られました。責任者は僕ですし、叱られて当然です。鍬原は、大学1年の時にヒジを疲労骨折していると知っていました。でも、腱ではなく単純な骨折ですし、3年や4年の時は普通に投げていた。影響はないと考えました」
ADVERTISEMENT
1年目、鍬原は5月31日の日本ハム戦でデビューするも、6試合で1勝2敗。セ・リーグのドラ1投手では、阪神の馬場皐輔(仙台大学)は2試合で0勝1敗に終わるも、中日の鈴木博志(ヤマハ)は53試合で4勝6敗4セーブと貴重な中継ぎとして活躍。DeNAが一本釣りに成功した東克樹(立命館大)は24試合に先発し、11勝5敗で新人王に輝いた。
逃した“北海道の大学生”「欲しかった」
もし岡崎がスカウト部長の権限をフルに生かして村上を指名していたら、巨人やヤクルトの行く末は大きく変わっていただろう。そして、翌年の“まさかの事態”も起こらなかったかもしれない。このドラフトで、岡崎は悔いの残る出来事があった。
「今になって思うと、周東は欲しかったですね」
スカウト部長時代を振り返って「後悔はないです」と言ったが、球界随一のスピードスターの話になると、遠くを見つめた。17年3月、北海道担当の柏田貴史に「東農大オホーツクの周東佑京を見てくれませんか」と声を掛けられ、同大学の沖縄キャンプを訪問。ショートを守る21歳の動きに目を見張った。