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「清宮幸太郎か、村上宗隆か?」元巨人スカウト部長がいま明かす“怒られた”ドラフト…じつは指名チャンスあった周東佑京「欲しかった」なぜ断念した? 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2025/05/26 11:02

「清宮幸太郎か、村上宗隆か?」元巨人スカウト部長がいま明かす“怒られた”ドラフト…じつは指名チャンスあった周東佑京「欲しかった」なぜ断念した?<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2017年ドラフト会議で7球団競合の末、日本ハムに入団した清宮幸太郎

 08年から15年まで、巨人は3球団以上競合する選手を指名していないのだ。この間の最多競合の1位、巨人の1位は以下になる。

【2008〜15年ドラフトで最多競合の選手】

年/最多競合/選手名/交渉権獲得 ※1回目の指名を対象

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08年/2球団/松本啓二朗/横浜 野本圭/中日 大田泰示/巨人
09年/6球団/菊池雄星/西武
10年/6球団/大石達也/西武
11年/3球団/高橋周平/中日 藤岡貴裕/ロッテ
12年/4球団/藤浪晋太郎/阪神
13年/5球団/松井裕樹/楽天
14年/4球団/有原航平/日本ハム
15年/3球団/髙橋純平/ソフトバンク

【2008〜15年ドラフトで巨人1位指名の選手】

年/競合/選手名

08年/2球団/大田泰示
09年/なし/長野久義
10年/なし/澤村拓一
11年/2球団/菅野智之 ※日本ハムに抽選負け。外れ1位・松本竜也
12年/なし/菅野智之
13年/2球団/石川歩 ※ロッテに抽選負け。外れ1位・小林誠司
14年/なし/岡本和真
15年/なし/桜井俊貴

 巨人1位のほとんどは主力として働いており、一本釣りの戦略が間違っていたとは言えない。ただ、17年時点で高卒3年目の岡本はまだ芽が出ておらず、即戦力として期待された桜井も1勝もしていない。それに加え、優勝から3年間遠ざかっていた。直近の状況が、村上の一本釣りを妨げる要因になったと考えられる。

「もし村上に行ったら、(マスコミやファンから)『なんでやねん! 清宮だろ!』と批判されたと思います。1位を決めたら、GMがオーナーに報告し、巨人軍の最高経営者会議の議題に掛けられます。つまり、最終決定は当時ならナベツネ(渡邉恒雄)さんですね。ただ、ダメとは多分言われない。読売新聞の上層部に伝えるのは、最初の1位指名だけです」

浴びた批判「巨人のスカウトは馬鹿なのか?」

 清宮は高校生史上最多タイの7球団競合の末、3番目に引いた日本ハムの木田優夫GM補佐が当たりくじをゲット。4番目の高橋由伸監督は、羨ましそうに眺めるしかなかった。

「まだ村上が残っていた。『ヨッシャー!』と思ったけど、他のチームも同じように考えますよね。結局、外れ1位で3球団が指名して、ヤクルトに取られてしまった。村上がキャッチャーというのも、僕が惹かれた理由でした」

 当時、巨人は支配下登録の捕手が少なく、相川亮二の引退で6名に減っていた。通常、10名前後は必要なため、巨人は2位で岸田行倫、3位で大城卓三の交渉権を獲得する。だが、社会人捕手2人の指名は大きな批判を生んだ。

【次ページ】 逃した“北海道の大学生”「欲しかった」

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