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核心にシュートを!BACK NUMBER
佐野海舟復帰でも三笘薫選外でもなく「久保建英システム」が日本代表の裏テーマか「アルゼンチンもメッシ中心で…」注目は“パリ世代の2人”
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/05/24 11:04
ここまでの主力メンバーが多く外れる中で、久保建英は6月シリーズに招集された。その裏テーマを読み解くと?
鈴木唯人はすでに、ブレンビーからフライブルクへの移籍が決まった。フライブルク入団時のインタビューでは、トップ下が好きなポジションであることを明かしている。ただプレーのスケールの大きさを考えれば、トップ下や2シャドーの一角だけではなく、相手に引かれたときには3列目での起用も考えられる。
じつは、レアル・マドリーのベリンガムと鈴木唯人のデータを比べると、興味深い数字が並ぶ。
〈ベリンガム〉
リーグ戦31試合出場9ゴール、シュート61本
ペナルティエリア外からのシュートは18本(全体の約30%)
〈鈴木唯人〉
リーグ戦31試合出場11ゴール、シュート61本
ペナルティエリア外からのシュートは26本(全体の約43%)
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ベリンガム以上にエリア外から積極的に狙える姿勢を、鈴木は持っている。エリア外からのゴールは1点のみにとどまったが、この数字をさらに伸ばせると、プレーの幅は一気に広がるはずだ。4バック時のフォーメーション図(※関連記事からご覧になれます)でも書いた通り、鈴木唯人と藤田が中盤の底に並ぶ攻撃的オプションも考えられるようにある。
鎌田がドイツで残した成績も参考になる
似た役割だと、2022-23シーズンの鎌田が残した成績が参考になる。当時はフランクフルトに所属していた鎌田のペナルティエリア外からのシュートやゴールにフォーカスしたデータは以下の通りだ。
〈22-23シーズンの鎌田〉
32試合出場9ゴール、シュート44本
ペナルティエリア外からのシュートは14本(全体の約32%)
ペナルティエリア外からのゴールが4点もあったが、これは当時のリーグ最多タイである。鎌田級の活躍ができれば、鈴木唯人がW杯メンバー入りする可能性も一気に跳ね上がる。また、フライブルクへの移籍は大きな転換点になり得る。先に触れた堂安がハードワークにさらなる磨きをかけ、守備の個人戦術が洗練されたのはフライブルクでの日々だった。その意味で、鈴木唯人が堂安のような急成長を遂げる可能性は大いにある。
パリ、ロス五輪世代が久保から刺激を受けるとともに
何より、鈴木は久保より誕生日が4カ月ほど遅い10月25日だが、生まれた年は同じ2001年だ。久保が輝いているのを見て、自分も日本代表で力を発揮するにはどうしたらいいのか。刺激を受けないはずがないだろう。
2人を筆頭にしたパリ五輪世代とロス五輪世代である佐藤には、久保から大いに刺激を受けてもらいたい。そんな狙いが森保監督にはあるだろうが、単なる個人のアピール合戦で終わってしまうのはもったいない。だからこそ今回の活動を、これまで試してこなかった戦略――つまり、久保を中心に据えた戦いの中で、各選手の化学反応を模索していく価値は十分にあるはずだ。〈第1回からつづく〉


