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核心にシュートを!BACK NUMBER
佐野海舟復帰でも三笘薫選外でもなく「久保建英システム」が日本代表の裏テーマか「アルゼンチンもメッシ中心で…」注目は“パリ世代の2人”
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/05/24 11:04
ここまでの主力メンバーが多く外れる中で、久保建英は6月シリーズに招集された。その裏テーマを読み解くと?
最終予選を見ても明らかだが――これまでの日本代表は、今回は選外となった三笘薫中心のチーム作りをしていた。
3-4-3の右ウイングバックに堂安律が入っていたのも、その1つ。堂安は今季のブンデスリーガ全体で、デュエルの勝利数が全選手の中で6位。ボランチの佐野海舟が4位だったことを踏まえると、アタッカーで堂安ほど守備のできる選手は稀有だし、その上でシーズンで10ゴール8アシスト(*キッカー誌の集計)を記録し、クロスに合わせる能力の高さも見せた。
三笘の守備の負担、クロスに合わせられる選手を考えても、堂安が右ウイングバックを務めるのは理にかなっていると言えた。
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一方で三笘のケースとは異なり、久保中心のチーム作りをする状況はこれまでなかった。その意味で、今回は絶好のタイミングになるのではないか。鎌田大地の選出は所属チームでの試合出場時間を考慮されたものだろうが、周囲の選手のポテンシャルを引き出せる彼の存在もまた、久保システムが有効かどうかを見極める際に重要な存在になる。
カタールW杯のメッシとアルゼンチンがそうだった
ここで想起したいのが、2022年カタールW杯で優勝したアルゼンチン代表のモデルだ。彼らは戦術的に洗練されたチームというよりも、メッシを中心に置きつつ彼との相性が良く、輝かせられる働きをできる選手を最適化したシステムで、頂点に上り詰めた。これは戦略的に優れていたと言える。
そこで〈3バックか4バックか〉というフォーメーションや、戦術論とは切り分けて――三笘を中心としたパターンに加えて、久保中心のメンバーとシステム構成を考えておくのは大事な戦略ではないか。それは〈中心選手がいた時に献身的な仕事をするのが得意〉という日本人の特質、そしてカタールW杯ドイツ戦などを筆頭に「戦局を読んで」戦い方を大きく変えるのを得意とする森保監督の手腕を踏まえても、ハマりそうな気配がある。
もし久保中心のチームを作るとしたら――パリ五輪世代で注目すべき選手が2人いる。
注目すべき1人目…藤田譲瑠チマのスゴいスタッツ
1人目が藤田だ。代表復帰した佐野海舟の陰に隠れがちだが、彼は今季のベルギーリーグで、守備デュエル勝利数で堂々の2位、インターセプト数も6位タイを記録した。さらにパス数は全体で20位、ファイナルサードへのパス数も16位だった。シント・トロイデンの今季ボール支配率は16チーム中12位と、パスを多くつなげるチームではないにもかかわらずだ。
このデータを見れば、遠藤航の古巣で、ポゼッションサッカーに挑戦しているシュツットガルトへの移籍が秒読みだと言われるのも納得できる。日本代表でも中盤の底に入ったときに、どのような仕事ができるのかをじっくり見てみたい1人だ。
注目の2人目がフライブルク移籍・鈴木唯人である理由
もう1人が、鈴木唯人である。


