「そんなのありえないっすよ」のハズが…高校駅伝で話題の“集団転校”問題　転校して“来られた側”の胸中は？ 経験者が振り返る「狂騒曲のリアル」 

　しかも当時の豊川工には、2年生以下に、平和真（早大→現・Kao）、安藤悠哉（青山学院大→一般就職）、富安央（日体大→現・愛三工業）、大野日暉（神奈川大→元・愛三工業）といった、後に箱根駅伝や実業団で活躍する選手たちが揃い、その翌年度も勢いは衰えそうになかった。

「豊川工業の選手は記録会とかでもどんどんタイムを出していて。意識はしていたんですけど、正直『勝てる時があるんかな』と思っていましたね」

　年が変わり2月から3月にかけて、各地で全国の強豪校が参加する駅伝大会が行われ、そこで新年度の戦力図が見えてくる。名岐駅伝、西脇多可新人駅伝、春の伊那駅伝といったいわば都大路の“前哨戦”とも言える各大会で優勝を重ねたのが豊川工だった。

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　全国制覇を目論むライバル校は、まさに黄金期を迎えつつあった。

耳に入ってきた“ある噂”…「ありえないっすよ」

　そんな折、ある噂が皆浦さんの耳に入ってきた。

「確か西脇多可駅伝のレース後だったと思うんです。先輩と話していたら『“仙台育英から選手が転校してくる”という噂がある』と言うんです。当時はネットもあんまり見ていなかったですし、『いや、そんなのありえないっすよ』って。全然、信じていなかったんですけど……」

　ところが、その「ありえない」はずの出来事が、現実に起こってしまった。

　仙台育英高から、本当に選手たちが転校してきたのだ。

＜次回へつづく＞

#2に続く

「葛藤はあったと思うんです。でも…」高校駅伝で話題の“集団転校”…思い出す“2012年の豊川高校”の衝撃　転校組を「受け入れられた」納得のワケ

#3

「やっぱり縁があったから…」高校駅伝で話題の“集団転校”…転校して“来られた側”の経験者が「都大路で初出場・初優勝」を経て伝えたいこと

#2

「葛藤はあったと思うんです。でも…」高校駅伝で話題の“集団転校”…思い出す“2012年の豊川高校”の衝撃　転校組を「受け入れられた」納得のワケ

#1

「そんなのありえないっすよ」のハズが…高校駅伝で話題の“集団転校”問題　転校して“来られた側”の胸中は？ 経験者が振り返る「狂騒曲のリアル」