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「僕のせいで、すみません」斎藤佑樹は冷静だった…日ハム決定のドラフト会場で記者が殺到「名刺が一瞬で消えた!」広報が見た“フィーバー”の実像 

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熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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photograph byJIJI PRESS

posted2025/05/17 11:01

「僕のせいで、すみません」斎藤佑樹は冷静だった…日ハム決定のドラフト会場で記者が殺到「名刺が一瞬で消えた!」広報が見た“フィーバー”の実像<Number Web> photograph by JIJI PRESS

札幌ドームで入団会見を行った斎藤佑樹。平日にもかかわらず8000人ものファンが集まったという

 しかし斎藤は、ルーキーに似合わない落ち着きを漂わせていた。

 毎年1月には、新人選手恒例のNPB新人選手研修会が行なわれるが、このときも会場となった都内のホテルには大勢のメディアが駆けつけた。

 やがて講義が始まり、畑中は「しまった!」とあわてた。

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「こういうところで居眠りでもされたら、恥ずかしいじゃないですか。少しでもウトウトしようものなら、カメラに抜かれるに決まっている。だからあらかじめ注意しておこうと思っていたのに、伝え忘れてしまったんです」

浮ついた言動をまったく見せなかった

 だが、畑中の不安は杞憂に終わる。アンチドーピング、納税、薬物、暴力団、そしてファン・メディア対応というお堅いテーマが続く講義を、斎藤は微動だにすることなく乗り切ってみせた。

 最後の講義が終わったあと、「居眠りしたらどうしようかと思っていたよ」と言うと、斎藤は顔色ひとつ変えずにこう返した。

「いや、そんなことしたら、どうなるかわかってるので」

 付け加えると彼は、世間の目を気にして話を聞く姿勢を保っていたわけではない。あとでたずねると講義の内容もほとんど憶えていて、畑中は居眠りの心配ばかりしていた自分を恥じることになった。

 世間の注目を一身に浴びながらも、斎藤は新人にありがちな隙や浮ついた言動をまったく見せることがなかった。それはハンカチで汗をぬぐったあの夏以来、騒がれることがすでに日常となっていたからだろう。

 そんな斎藤と、同期入団の選手たちはどう接していたのだろうか——。

〈全2回の1回目/つづきを読む

#2に続く
「やっぱり斎藤佑樹の人生は美しくて格好いい」同期入団・谷口雄也がともに過ごした鎌ケ谷の日々を語る「斎藤さんは悪いときこそファンを大事に」

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#北海道日本ハムファイターズ
#斎藤佑樹

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