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「最愛の母を交通事故で亡くし…」韓国の生ける伝説・申ジエ(37歳)が“下り坂”でも賞金14億円に到達できた理由「日本永久シードまで“あと1勝”」
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キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byAtsushi Tomura/Getty Images
posted2025/05/15 06:00

国内女子ゴルフメジャー初戦「ワールドレディスサロンパスカップ」を制した申ジエ(37歳)。生涯獲得賞金は史上初の14億円に到達した
申ジエの世界のツアーで挙げた通算勝利数は「66」。韓国21勝、米国11勝、日本31勝、その他3勝を合わせて66勝ととんでもない数の勝ち星を挙げている。
ただ、今も韓国で“生ける伝説”と言われる所以はそれだけではない。プレー、言動においても、いつも謙虚な姿勢を崩さない。18番ホールでギャラリースタンドから迎えられる拍手を受けるとき、必ずキャップを脱いで丁寧にあいさつしてからグリーン上へ上がってくる。こういった所作はプロゴルファーの鑑とも言える。
若手の模範であり続けたからこそ、「私が日本に初めて来たときよりも、プレースタイルがどんどん進化して、選手たち一人ひとりが自分の特徴や強さを分かってきていると思います」と日本ツアーの成長ぶりが微笑ましそうに語る。
ツアープロとしての“終活”
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これからのゴルフ人生について、申ジエは「山」に例えてこう話す。
「今はすごく上手に山を下りているところだと思います。山を登っている時にも小さな傾斜があり、下りや上りがあったりします。今回の優勝は『下りの中での優勝』だと思っています。次の人生の計画のためにも今のゴルフを最後まで下りきることが大事だと思っています」
ツアープロとしての終活と言っていいだろうか。この先に、ほんの少しだけ見えている景色があるようにも聞こえたが、その日が来るまで、申ジエらしく戦い続ける。

