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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥「弱い相手とばかり戦っている」は本当か? “ヘビー級の本場”イギリスの敏腕記者が語る“現地リアル評”「相手が弱く見えるのは…」
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2025/05/08 17:02
ダウンも喫した井上尚弥だったが、終わってみればラモン・カルデナスを一蹴。そのマッチメークを「ヘビー級の本場」英国人記者はどう見たのか
さらに、その先には「橋をかけすぎた挑戦」とも言えるフェザー級への挑戦が待っている。当然、厳しい戦いになるかもしれないが、ファレル氏はこう述べる。
「井上のパワーが126ポンドでも通用するのなら、この階級は震撼することになります」
そして、フェザー級で今最も現実味を帯びている相手が、英国出身のニック・ボールだ。リバプール出身のボールは、「リヤド・シーズン」の興行でその名を知られるようになり、井上とサウジ陣営の関係を踏まえると、この試合は現実味がある。ファレル氏もこの一戦に強い関心を寄せる。
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「これは個人的にも非常に期待しています。ボールは小柄ながらもフィジカルが強く、前に出るスタイル。身長も5フィート2インチ(約157cm)と井上と近く、他のフェザー級王者のようなリーチ差を気にする必要もありません。また、ボールの“全身全霊”のファイトスタイルは、井上にとってもボディワークを発揮しやすいタイプと言えるでしょう」
“舞台”と“相手”次第で…英国でもスターに
階級を上げた井上が、こうした英国の注目株を倒せば、初めて本格的に一般層にもその名前が浸透する可能性がある。逆に苦戦すれば、それもまた話題を呼ぶだろう。いずれにしても、物語性を備えたカードになることは間違いない。
イギリスにおける井上尚弥の評価は、熱心なファンには絶賛され、一般層には未だ“遠い存在”という二層構造になっている。しかし、実力はすでに十分伝わっており、あとは“舞台”と“相手”次第で一気に突き抜ける。
2025年は井上にとって、技術的にも戦略的にも極めて重要な一年。そして、世界に「次の段階」を見せる一年になるだろう。
ファレル氏もその点にうなずく。
「“モンスター”にとって、今年は非常にエキサイティングな一年になります」

