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井上尚弥「弱い相手とばかり戦っている」は本当か? “ヘビー級の本場”イギリスの敏腕記者が語る“現地リアル評”「相手が弱く見えるのは…」
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph byHiroaki Yamaguchi
posted2025/05/08 17:02
ダウンも喫した井上尚弥だったが、終わってみればラモン・カルデナスを一蹴。そのマッチメークを「ヘビー級の本場」英国人記者はどう見たのか
ファレル氏はカルデナス戦をこう振り返る。
「この場面は、今後井上がフェザー級に階級を上げたときにどうなるか、という大きな問いにもつながります。リング上で見る限り、カルデナスの肩周りは井上より明らかに分厚かった。すでに井上は、本来の適正体重より上の階級で“巨漢たち”と渡り合っているようにも見える。それでも、パワーとスキルを高次元で融合させた井上は、サイズの不利をまるで感じさせない。だからこそ、122ポンド級(スーパーバンタム級)を無敗で制しているのです。そして今回も、驚異的な回復力を発揮しました」
スーパーバンタム級では、以前のように1~2ラウンドで仕留める展開は減ったかもしれない。だが、井上のパンチは“持続ダメージ型”となり、相手を削り、折る。そして、ジャブや足運び、戦術的な修正力といった“技術の奥行き”が増しているのが今の井上だ。
激戦予想の次戦以降…問われる真価
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その磨き上げられた技術が、次戦で真価を問われることになる。
9月には、ムロジョン・アフマダリエフとの対戦が確実となり、井上本人もカルデナス戦後のリング上で「次は9月にアフマダリエフと戦います」と明言した。かつて2団体統一王者として評価を高めた技巧派サウスポーであり、「井上にとってはこれまでで最も厳しい試練となる可能性がある」とファレル氏は指摘する。
「この階級で残された最大の山場がアフマダリエフとの一戦でしょう。おそらく井上にとって、これまでで最も厳しい試練となる可能性もあります。そしてその先には、日本人同士のスーパーファイト、中谷潤人戦が控えているかもしれません。サウスポーの中谷は、その強烈な左で井上の“アゴ”を試す気満々でしょう」

