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将棋PRESSBACK NUMBER
藤井聡太と永瀬拓矢の名人戦「関係者はソワソワ」GWの羽田空港に“2人だけの異空間”…取材記者が見た舞台裏「飛行機を止めてくれと言われるかと(笑)」
text by

いしかわごうGo Ishikawa
photograph byNumber Web
posted2025/05/07 11:28
ゴールデンウィークの羽田空港で行われた名人戦第2局。藤井聡太名人と永瀬拓矢九段が白熱の攻防を繰り広げた
当事の裏話を話しかけていた途中で、中村は「あれ? これYouTubeで流れてないですよね?」と確認すると、聞き手の武富女流が「先生、流れてますよ」と慌ててフォローする一幕も。全世界に配信するわけにはいかなかったのか、「その後は素晴らしい内容の将棋になりました」と続け、惜しくもこのエピソードの真相は切り上げられてしまった。
立会人のウラ話「飛行機を止めてくれと言われるかと」
なお今回の検分では永瀬から「ちょっと……飛行機の音が」と相談を受けたという。ただ飛行機のエンジン音は多少聞こえたものの、対局場の防音設備がしっかりしていたので、それほど問題にはならなかったようだ。
中村は「飛行機を止めてくれと言われるのかなと思いました。昔は滝を止めた先生はいましたけど、飛行機は止められないので」と切り出して、会場の笑いを誘っていた。局後の永瀬は「飛行機の音は気にならず、何も気にせずに快適な環境を整えてもらいました」と述べている。こういった配慮も空港対局ならではエピソードだといえる。
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ちなみに「滝を止めた先生」というのは、ひふみんこと加藤一二三九段のことであろう。ある旅館で行われたタイトル戦で、庭にある人工の滝を止めさせたエピソードは有名だ。別の対局場では水車も止めさせたこともある。さすがとしか言いようがない。
2日目の夕方に差し掛かるまで本格的な戦いは起こらず、形勢はほとんど互角で進んでいた。そのため、解説会も緊迫した様子はなく、比較的、穏やかな雰囲気に包まれていた。
ここから抜け出すのはどちらなのか。
滑走路が見えるギャラクシーホールからの景色も、次第に暗くなり始めていた。
<続く>

