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将棋PRESSBACK NUMBER
藤井聡太と永瀬拓矢の名人戦「関係者はソワソワ」GWの羽田空港に“2人だけの異空間”…取材記者が見た舞台裏「飛行機を止めてくれと言われるかと(笑)」
text by

いしかわごうGo Ishikawa
photograph byNumber Web
posted2025/05/07 11:28
ゴールデンウィークの羽田空港で行われた名人戦第2局。藤井聡太名人と永瀬拓矢九段が白熱の攻防を繰り広げた
「不思議な現場」だったゴールデンウィークの羽田空港
不思議な現場だったと思う。それが、取材を終えてからの率直な感想だ。
なんと言っても、その対局場所である。
将棋のタイトル戦が開催される場所といえば、多くの人が思い浮かべるのは有名な旅館やホテルであろう。実際、名人戦の第1局は東京の文京区にある椿山荘で行われている。
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だが今回の舞台は、羽田空港第1ターミナル。そう、「羽田空港」だ。
しかも対局が行われる4月29日と30日は、世間的にはゴールデンウィークの真っ只中。いわゆる、繁忙期である。多くの人が訪れる空の玄関口で、2日間にわたって名人戦を指すのだ。
一体、どんな空間になるのだろうか。
これまでのタイトル戦取材にない不安と期待を胸に、対局2日目を迎えた羽田空港に辿り着く。空港内はさぞかし混雑しているかと思ったが、GWの中日だからか、想像していたような混み具合ではなかった。
名人戦に関するポスターや告知なども見当たらない。普段の羽田空港といった風情だ。空港内が広すぎて見つけられなかっただけかもしれないが、特に大々的な告知をしているわけでもないようだった。
なお羽田空港の大きさは、約1522ha。空港としては国内最大であり、渋谷区の面積(約1511ha)と同程度である。多くの人が目的地に辿り着くために利用している場所ではあるが、そんなに広いとは知らなかった。
大盤解説会場のある第1ターミナル6階のギャラクシーホールに向かう。
時間に余裕があったので、同じ階にある展望デッキにも足を運んでみた。
この日は快晴。入り口を開けると、見晴らしのよいデッキから離着陸する航空機を旅行者たちが間近で眺めていた。滑走路の奥に広がる景色も、青空も壮大だ。
同じ建物内では、2人の棋士が約36cm×約33cmの将棋盤に視線を注ぎ、とてつもない熱量で思考を巡らせている。そんな事実を思うと、なんとも不思議な現場にいる感覚になったのだ。


