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血まみれの蛍光灯デスマッチを超えて…葛西純の願い「純粋にシングルでエル・デスペラードに勝ちたいんだよ」IWGPジュニア“異例の防衛戦”は実現するのか?
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原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2025/05/05 17:04
5月2日、FREEDOMSのリングで向き合った葛西純とエル・デスペラード
その翌月にはFREEDOMSのビッグマッチ、横浜武道館大会で再び葛西とタッグを結成。海外からも引く手あまたの竹田誠志、山下りなを相手に狂乱の世界に飛び込み、デスマッチファンが歓喜する試合を4人で繰り広げた。
「デスマッチじゃ敵わない」デスペラードのジェラシー
2024年は1.4の東京ドームでIWGPジュニアヘビー級王座を獲得。初防衛に失敗したものの、6月には9日に大阪城ホールで『BEST OF THE SUPER Jr.』初優勝を果たし、16日にはIWGPジュニアのベルトを再び自分のものにした。また、その間、大阪城の翌日に後楽園で『DESPE-invitacional』を開催。下田美馬やスターライト・キッドらとのミックスドマッチから始まった大会は、男色ディーノとのフェロモンズごっこで幕を閉じ、札止めの観衆を衝撃的な多幸感で包んだ。
今年は1.4東京ドームでIWGPジュニアのベルトを得ると、これまでに5度の防衛に成功。新日ジュニアの主役であることに議論の余地がないほど、確固たる地位を築き上げている。3月にはクレイジーフェストのメインイベントに招かれ、活動25周年を迎えたバーブ佐々木レフェリーが思う「究極」として葛西、竹田との3WAYマッチが行われた。
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新日本の戦いも、ハードコアも、ミックスドマッチも、フェロモンズも。デスペラードにとっては「これもプロレス」。葛西にしてみれば、そう断言できるデスペラードが、それらと向き合って飛び込めるデスペラードが、それを楽しむデスペラードが、それで周りを楽しませてしまうデスペラードが、それで認められるデスペラードが、そんなデスペラードを自分も認めていることが、凄くて、格好良くて、羨ましくて、超えたい。
デスペラードからしても、単に葛西を尊敬している、というだけではない。踏み込めば踏み込むほど、勝敗とは関係なく、それを生業としている選手たちには「絶対デスマッチじゃ敵わない」と感じさせられるという。言ってしまえば、ジェラシーだ。
全員が全員を認め合っている4人による試合だからこそ「尊敬と嫉妬」が同時に存在することが強く浮かび上がった。メインをセコンドとして支えていた選手たちも、この日の試合に出場した選手たちも、映像でこの試合を見た選手たちも、その2つの感情を同時に抱えていたのだろう。


