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血まみれの蛍光灯デスマッチを超えて…葛西純の願い「純粋にシングルでエル・デスペラードに勝ちたいんだよ」IWGPジュニア“異例の防衛戦”は実現するのか?

posted2025/05/05 17:04

 
血まみれの蛍光灯デスマッチを超えて…葛西純の願い「純粋にシングルでエル・デスペラードに勝ちたいんだよ」IWGPジュニア“異例の防衛戦”は実現するのか?<Number Web> photograph by Masashi Hara

5月2日、FREEDOMSのリングで向き合った葛西純とエル・デスペラード

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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Masashi Hara

 バーブ佐々木レフェリーがマットを叩くと、ファインダーの向こうにキラキラしたエフェクトがかかる。照明の光を浴び、季節外れの雪のようにも見えるそれは、ところどころ赤い。蛍光灯の破片が積もったリングで3カウントを奪ったのは葛西純。奪われたのはIWGPジュニアヘビー級王者のエル・デスペラードだった。

「尊敬と嫉妬」がテーマだった理由

 エル・デスペラード、ビオレント・ジャック組vs.葛西純、杉浦透組。5月2日のFREEDOMS後楽園ホール大会のメインイベントにはスペイン語の「Respeto y Envidia」というフレーズがつけられた。Respetoは英語のリスペクト、つまり「尊敬」。Envidiaは色々な使い方をするが、今回は「嫉妬」だ。

 試合が決まると葛西は「男の中の男から、最大の尊敬の念をもって3カウントとらせてもらう」とコメント。FREEDOMSの最高王座であるKING of FREEDOM WORLD CHAMPIONSHIPを保持する杉浦は「世間的に葛西さんとデスペラードのマッチアップが注目されていると思うが、ここまでFREEDOMSのリング、世界のデスマッチを引っ張ってきた自負はとてつもなくある」と言うだけでなく、なんとこの日の第0試合にXとして登場し、OSW所属の19歳のルーキー・五十嵐玲也の聖地デビューの相手となった。

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 尊敬と嫉妬。尊敬しているから嫉妬していないわけでも、嫉妬しているから尊敬していないわけでもない。どちらかだけがあるのではなく、2つの感情は必然的に同居するのだ。3年前、葛西に勝って以降のデスペラードの歩みを簡単に振り返るだけでも、それがわかる。

 2022年9月、憧れの存在だった“デスマッチのカリスマ”葛西純にシングルマッチで勝利したデスペラードは、新日本プロレスのジュニアヘビー級戦線の中心選手としてだけでなく、ハードコアな戦いの場における特別な選手の1人として団体の枠を越えて認知されるようになった。自分が好きなことを実現しながら、周囲をその楽しさに惹き込んでゆく“ならず者ルチャドール”への国内外のファンや同業者からの支持はどんどん高まっていった。

 2023年7月には新日本の大会(NJPW STRONG)で葛西とタッグを結成し、ジョン・モクスリー、ホミサイド組と激突。セルリアンブルーのマットでは異例となる、数々のデスマッチアイテムを駆使した血みどろの激闘を繰り広げると、その翌日にはモクスリーと階級を越えたハードコアなシングルマッチ。2夜連続で流血前提の戦いが新日本の後楽園ホール大会のメインイベントを担った。モクスリーからの要望だった。

【次ページ】 「デスマッチじゃ敵わない」デスペラードのジェラシー

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