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スターダム電撃退団の岩谷麻優「未練がないと言ったらウソになります」“新しい旅”を選んだ本当の理由は…アメリカでも注目「イワタニがやってくる」
posted2025/04/30 17:21

4月28日にスターダムを退団した岩谷麻優。前日の27日に横浜アリーナで約2年間保持したIWGP女子王座を失っていた
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原悦生Essei Hara
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Essei Hara
「普通の人からしたらスターダムを辞める理由なんかないでしょうね。バカだなあと思います。約束された安定を求めるなら、そこに残っていればいい訳ですから。ただ、岩谷麻優がスターダムでやることがもうなくなったというだけです」
4月28日に女子プロレス団体の最大手スターダムを退団した岩谷麻優(32歳)はそう話した。
「岩谷麻優までいなくなったら…」分裂時は残留決断
「スターダムのアイコン」とも呼ばれた岩谷が退団を考えるようになったのは一昨年だったという。IWGP女子王座に執着を示していた岩谷は、2023年4月23日、メルセデス・モネからタイトルを奪って3代目王者になった。防衛戦がうまく組まれないこともあったが、防衛記録を9回と重ねた。ベルトのサイズだけは「小さい」という理由で気に入らなかったが、IWGPという名のタイトルにかなりの愛着を感じるようになっていた。
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「小さいから首に巻いているんですよ。ベルト大きくしてほしいなあ」
そんな岩谷の願いは最後まで叶わなかったが、もしIWGP女子のベルトがなかったら、もっと早い時期にスターダムを離れていたかもしれない。
2024年2月の分裂騒動の時は、心が揺れたのも事実だった。岩谷は「新団体に行こう」とも思ったが、「ロッシー小川がいなくなったスターダムで、岩谷麻優までいなくなったらスターダムじゃなくなっちゃう」と感じて、会社と話し合いを持った末に思いとどまったという。
「スターダムを守ろうという気持ちになった。実際、残ってよかったと思った。14年もいたわけですから、いざその時が来ると涙も出ます」
岩谷はIWGP女子王座への思いを語った。
「初代王者にはなれなくて悔しかったけれど、2年前にベルトを巻くことができた。防衛戦の度に『IWGPを失ったら辞めちゃうだろうな』と思っていた。それくらいIWGPにかけていた。だから負けちゃダメだって。ベルトがなくなったら終わりだな、スターダムの岩谷麻優は終わりだなって。もう、赤いベルトでも白いベルトでもないでしょう。なんかこの2年間、IWGPにプロレス人生をかけていました。IWGPを失った時が、スターダムを離れる時と決めていました。その思いは前から岡田(太郎)社長には伝えてありました」