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「そんなことするのはアホです」スターダム社長が否定したこと…敗者引退マッチに電撃移籍、激震が走るスターダムの未来とは?
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/05/08 17:04

「敗者引退マッチ」を終えた中野たむと上谷沙弥
「プロレスラーの覚悟とか決意をナメないでいただきたい」
引退を団体が強要したとするなら、上谷とたむはそれを唯唯諾諾と受け入れるだけだったのか。上谷とたむは「負けたら引退」をすぐに反故にするような選手なのか。あなたはそんな選手のファンなのか。そうではないだろう。
「会社にやらされているだけ、なんてことがあるわけがない。プロレスラーの覚悟とか決意をナメないでいただきたい。それは本当に思いますね」
横浜アリーナ大会の前夜、岡田はXに「明日、世界を変えよう」と書いている。そこには、プロレスの「良くも悪くもある文化」を変えたいという意志も込められていた。
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「誇れるプロレス」をやっていく。それは主力選手を失っても変わらない。
「もちろん不安はあります。でも不安だからこそワクワクする部分もある。大きな大会を節目にやめていく選手がいるのは仕方ない。それは覚悟の上です。その先、じゃあ誰が出てくるんだろうと。いろんなチャンスを用意するのは会社の役目。それを誰が掴みにいくのかが楽しみです」
5月の大会では、赤いベルトを持つ上谷に玖麗さやかが挑戦。白いベルトの王者であるスターライト・キッドにはHANAKOが挑む。玖麗もHANAKOも2023年デビュー。まだ新人に分類されるキャリアだが、結果を残してビッグタイトルに王手をかけた。
この2試合が、中野たむも岩谷麻優もいないスターダムに新たな風景をもたらすことになる。2023年以降にデビューした新人は、じつに8選手。岩谷と同じユニットであるSTARSの羽南はエース候補と言っていい。他を圧倒する選手層はスターダム最大の強み。激震に見舞われた中でも、彼女たちはリアルなドラマを見せてくれるはずだ。

