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「そんなことするのはアホです」スターダム社長が否定したこと…敗者引退マッチに電撃移籍、激震が走るスターダムの未来とは?
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/05/08 17:04
「敗者引退マッチ」を終えた中野たむと上谷沙弥
新たな道を模索する選手たちも…
退団や引退ではなくても、新たな道を模索することはある。タッグ王座戦で後輩の王者チームに敗れたFWC(葉月&コグマ)は、こんなコメントを残した。
「私たちの役目はもう終わった」(コグマ)
「これからは世界のFWCになろう」(葉月)
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ファンを不安にさせるような言葉だったが、2人はその後もスターダムの試合に出続けている。
「ゴールデンウィークは2人の地元、九州でのシリーズですし。それ以降は海外進出、世界制覇への道というのが大きなテーマになってくると思います。それは2人とも話していること。葉月選手はアメリカの団体SPARKのベルトも獲得しましたし、FWCは海外での評価も高いので」
岡田はそう説明している。2人もやはり、横浜アリーナという節目を経て新たな道に進むわけだ。
「そんなことするのはアホですよ」社長が否定したこと
横浜アリーナ大会の入場者数はスターダム史上最多となる7503人。大成功だったが、敗者引退マッチには批判も多かった。大会の話題性のため、チケットを売るためにどちらかが引退しなければならない試合を団体側が無理強いしたのだという意見もあった。
「そんなことするのはアホですよ」と岡田は苦笑する。上谷もたむもスターダムでトップクラスの人気選手。長く試合を続けてもらったほうが団体としては利益になるのだ。
「引退するにしても、即引退ではなく引退ツアーで全国を回って毎回、会場でチェキ会。引退興行を派手にやって、引退グッズを大量に作って、引退後のファンイベントまで開催しますね。普通そうするんです。でもそれは2人が望んだことではなかった」
上谷vsたむは当初、他のタイトルマッチと同じ30分一本勝負で行われるはずだった。しかし大会当日、完全決着を期して時間無制限一本勝負に変更されている。
「30分だと時間切れ引き分けの可能性がある。私としてはそうなってもいいという考えもありました。引き分けになって“どちらの引退もありません”と私が謝って済むのならそうしたいと。やっぱりどちらにも引退してほしくないというのが本音でしたから。でも2人は“それでは嫌です”と完全決着を望んだんです」

