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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
青柳晃洋「防御率13.50」から目指す大逆転! フィリーズ3Aで7試合連続無失点の陰にあった原点回帰「一生懸命投げない」メジャー昇格への道筋
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2025/04/30 11:04
3Aで奮闘する青柳。メジャー昇格までの「現在地」は…
そもそも「打たせて取る」という考え方は、青柳自身が日本時代に好成績を挙げ、タイトルを獲得したスタイルだ。しかし、渡米してから、パワー野球を目の当たりにする日々を送り、知らぬ間に自分を見失ってしまった。
「中継ぎだろうが先発だろうが、1イニングで三振を3つとるのに20球を使うんだったら、打たせて取って3球でアウトを取った方が楽じゃないって話をしたことがあるのに、いざその立場になってしまったときに自分が一生懸命、投げてることに改めて気づいたっていう感じだった」
たどり着いた“原点”の思考
1イニングを全力でいく。青柳の場合はそれが、不必要な力みを生み、投球フォームの安定性を欠くことにつながってしまっていた。
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「短いイニングだからこそ、バッて自分の持てる力を全部出すイメージだったんですけど、それ(首脳陣からのアドバイス)を言われてからは先発と一緒でいいんだな、っていう考えになった。言い方は悪いですけど“一生懸命投げない”というか。ちょっと字にすると、勘違いされる表現かもしれませんが」
もちろん、抑えるためには「一生懸命」に投げる。ただ、メジャーのパワーピッチャーのマネをすることはない、と方針転換できた。自分は自分のまま勝負する。やや寄り道はしたが、その思考にたどり着くことができた。そして、今は好結果を出し続けることができている。
「今、不安はないですね」
滑るボール、硬いマウンド、リリーフの調整。多くの課題があったが「今、不安はないですね」と即答する。マウンドに向かうまでの調整も先発からリリーフ仕様に変更。試合当日のブルペンでは、先発では30球ほど投げていたが、現在は「どんなに投げても15球までと決めています」。シーズンを乗り切るための省エネとペース配分も工夫している。
実は首脳陣とのミーティングで、青柳はこんな言葉を伝えられている。
「ここからフィリーズに上がる選手は全員、複数イニングを投げなければいけないポジション。1イニングだけ、という立場と役割で上がることはない」
4月25日時点でフィリーズのリリーフ投手のチーム防御率5.44はナ・リーグワースト2位。マイナーで好投を続ける青柳はいま、メジャーまでの距離感をどう感じているのか。〈つづく〉

