球体とリズムBACK NUMBER
「女性の心を完全に理解できると思わないが」ニルス監督流“なでしことの信頼構築”が深い「モモとは英語で。一方でサキ、ミナは…」
text by

井川洋一Yoichi Igawa
photograph byBrad Smith/ISI Photos,Getty Images
posted2025/05/03 11:04
シービリーブスカップで驚愕のロングシュートを叩き込んだ谷川萌々子。彼女を含めたなでしこに、ニールセン監督はどう働きかけている?
もしフットボールがふたつのペナルティーエリアだけで行われるものだとしたら、スペインか日本がベストだと私は思う。でもそうではないので、必要な要素を加えていかなければならない」
この点に関しては、既出のインタビューで「(日本人選手には)絶対に勝利を掴み取ろうとする姿勢や決意が足りないと感じることがある。日本人は礼儀正しいので、なりふり構わず闘争することに慣れていないのでしょう」と、就任前に話していた。彼女たちと接している今も、印象は同じだろうか。
「謙虚さを持っているとは思います。ただそれはポジティブで、ユニークなものと感じるようになりました。例えば、シービリーブスカップでMVPに輝いたミナ(田中美南)は、それを自分だけの手柄には絶対にしない。これが他の国の選手であれば、インスタグラムなどで自慢していたと思いますが、彼女は違う。チームメイトの貢献があったからこそ、自分が成功できたとわかっているのです 。
ADVERTISEMENT
きっとMVPがユイ(長谷川)やサキ(熊谷)だったとしても、同じように振る舞っていたことでしょう。なぜなら彼女たちは皆、一番のスターは個人ではなく、チームだと理解しているからです。こんな集団の可能性は無限でしょう」
男子の日本代表で気に入った“意外な選手”とは
個人よりも集団を優先し、和を尊ぶ伝統を持つ日本人は、フットボールのようなチームスポーツに向いていると、外国で言われることがある。客観的に見て、それが仇になることもある気もするが、近年は個々の能力も高まり、あらためて日本人選手の規律やチームスピリットが評価されている。だからこそ、男女ともに欧米のトップクラブでプレーする選手が増えているのだろう。
今回の来日期間に、ニールセン監督は男子代表の試合も観戦した。彼が特に気に入った選手は……。〈つづく〉

