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「感想戦…まるで親友」藤井聡太も永瀬拓矢も「名刺交換してくれた!」“神対応”の高見泰地も…名人戦・棋士の素顔にマンガ家が感動した理由
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千田純生JUNSEI CHIDA
photograph byNumberWeb
posted2025/04/29 11:07

名人戦第1局後の感想戦。藤井聡太名人、永瀬拓矢九段ともに対局中とは打って変わって表情がほころんでいた
「あ、お帰りですか! 長時間の取材お疲れさまでした!」
編集担当さんが声を掛けられていました。……って、高見泰地七段じゃないですか!?
「こちらの方は? あっ、千田純生先生ですか! 初めまして、高見泰地と申します。SNSなどでイラストを楽しく拝見していますよ。こういう形で将棋の普及にご協力していただけること、本当にありがたく思っています」
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に、認識してくれている! そして「せっかくですので私ので良ければ……」と高見七段の方から名刺交換!! 神対応にもほどがある……。「高見先生、いつかお話を聞いて千田先生のイラストに生かせると嬉しいです」と編集担当さんが提案すると「ぜひぜひ今度、私のお話でよければ!」と爽やかな笑顔。さすが叡王経験のあるトップ棋士かつ軽やかな解説、そして〈たかみー〉の愛称で人気なわけだ、とホクホク顔で会場を後に。
「盤外ではめちゃくちゃフレンドリーな高見先生ですが、将棋という勝負の世界に生きる人だなと感じることが多々あります。順位戦を終えて1カ月ほどあったので『少しはゆったりとした期間を過ごせましたかね?』と聞いたところ『最近はとにかく、研究会の日々なんです』とおっしゃっていました」
編集担当さんが帰り道でこう話しかけてきました。
「それって『永瀬研』(※永瀬九段を中心に行われる研究会。佐々木勇気八段や伊藤匠叡王らも参加して研鑽に励んでいる)ですか?」
「そうですね。王将戦や順位戦A級を戦った直後にすぐ研究会に臨む永瀬九段もさすがだ……と思いつつ、高見先生からは〈藤井七冠と戦いを続ける永瀬九段から、少しでも何かを得たい〉というモチベーションを感じました。名人戦の大盤解説会で解説したのも、やはり現場の雰囲気を少しでも体感したい。そんな思いもあるのだろうなと推察します」
藤井名人も永瀬九段も高見七段も…将棋に純粋だった
棋士なら、少しでも将棋の本質を見たい。
それを突き詰めるために邁進する藤井名人、その境地に一歩でも近づこうとする永瀬九段や高見七段たち――将棋に対する純粋さを間近で触れて、またこの世界の深みと魅力を見せてもらった。そんな第1局の感謝を忘れずに、羽田空港で行われている名人戦第2局も見つめようと思います。
〈第1回からつづく/構成:茂野聡士〉

