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「感想戦…まるで親友」藤井聡太も永瀬拓矢も「名刺交換してくれた!」“神対応”の高見泰地も…名人戦・棋士の素顔にマンガ家が感動した理由 

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千田純生

千田純生JUNSEI CHIDA

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posted2025/04/29 11:07

「感想戦…まるで親友」藤井聡太も永瀬拓矢も「名刺交換してくれた!」“神対応”の高見泰地も…名人戦・棋士の素顔にマンガ家が感動した理由<Number Web> photograph by NumberWeb

名人戦第1局後の感想戦。藤井聡太名人、永瀬拓矢九段ともに対局中とは打って変わって表情がほころんでいた

「そういえば2年前は……凄まじい報道陣の数で何も周辺が見えてなかったな」

 東京の真ん中とは思えない緑の光景や池が目前に広がり、喧騒から外れた空間には対局場が特別であることをあらためて感じ取りました。

 そして20時55分、終局。

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 報道陣の波にもまれて何が何だかわからぬまま対局室の2年前の反省から、今回は最後列から入場。2年前と同じく和室の片隅で終局直後のインタビューを見つめることに。相変わらず凄まじい緊張感……。

「そうですね。かなり際どい局面だったんですけど、(持ち時間)9時間の将棋で目いっぱい考えることができたかなと思うので、その点がよかったかなと思います」

 質問に対して数秒沈黙して脳内を整理し、言葉を紡ぎ出す藤井名人の目の前には、敗戦という現実に直面する永瀬九段。その背中からにじみ出る無念さは筆舌、いやイラストにも表現しがたいものがありました。

感想戦になると2人の表情は柔らかくなった

「ゆっくり穏やかにするか、本譜のように斬り合いにするか。斬り合いの方で行ってみようかと思ったのですが……」

 インタビュー相手が藤井名人から永瀬九段に移ると、対局全体を思い出しながら淡々と語っていました。そこから5~6分ほど記者の方々とのやり取りし、藤井名人が再び質問に応対するとインタビューは終了。

「それでは感想戦にお移りください。ありがとうございました」

 こう締められて感想戦が始まります。2人があらためて駒を並べ直していき、1分半ほどは無言の時が続いたでしょうか。

 先に口を開いたのは、永瀬九段でした。「この時、2人の表情が見える場所でカメラを構えていたのですが、永瀬九段の表情が初めて少しほころびました」とは編集担当さんの記憶です。

 そこから徐々に対局場に張りつめていた緊張感が、ほどけていくような感覚を受けました。〈この時の最善手は何だったのか?〉とお互いに考え、まるでシンクロするかのように右上を見つめる様子も。

 取材ポジションを変えてもいいとのことで、永瀬九段が正面に見える場所に動いてみると、たしかにとても表情が豊か(もちろん藤井名人も)。2人の感想戦はいつも楽しそうだな、とこれまでは画面越しに見ていたわけですが、現場で見ると、まるで古くからの親友同士が楽しんでいるかのようでした。

藤井名人と永瀬九段だけでなく…た、高見七段!?

 藤井名人と永瀬九段は長年の研究パートナーとして知られています。そんな2人が対局場で見せるリアルな関係性――いいものを見られた。と思って帰途に就こうとしていると。

【次ページ】 藤井名人も永瀬九段も高見七段も…将棋に純粋だった

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