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名人・藤井聡太でも羽生善治会長でもなく…「名人戦第1局前夜祭、敗戦直後の感想戦も」挑戦者・永瀬拓矢の“素敵な笑顔”に最も胸キュンした 

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千田純生

千田純生JUNSEI CHIDA

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photograph by日本将棋連盟

posted2025/04/29 11:05

名人・藤井聡太でも羽生善治会長でもなく…「名人戦第1局前夜祭、敗戦直後の感想戦も」挑戦者・永瀬拓矢の“素敵な笑顔”に最も胸キュンした<Number Web> photograph by 日本将棋連盟

藤井聡太名人と永瀬拓矢九段が対局している名人戦。観る将マンガ家が注目の第1局を現場で取材した

「この名人戦というのは非常に長い歴史を誇っております。江戸時代、名人は家元の称号として、代々世襲で継いできた約400年の歴史がありますし、昭和10年に実力制に移行したんですね。90年の長きにわたって毎年棋士がしのぎを削って戦いを繰り広げてきました

 羽生会長が主催者・ファンへの感謝を述べつつ、名人戦の経緯に触れながら挨拶したのに続き、対局者両者への花束贈呈へ。この日の贈呈者は将棋を愛好する2人の子供でした。それぞれちょっと緊張した感じでしたが、嬉しそう!

 永瀬九段と藤井名人は決意表明でそれぞれこう話しました。

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「名人戦は歴史・重み・伝統があります。藤井名人とは3月まで王将戦で教えていただいておりました。そちらでは2日制でしか経験できないような経験ができ、今回は棋界最長の9時間という中で、初めて経験する持ち時間となります。2日制ですと、1日制とは違った課題や発見が数多く見つかり、1局でも多く指せればと」

「永瀬九段とは1月から3月まで王将戦の方で対戦してきました。そちらでもいろいろ勉強になる経験ができたと思います。名人戦ではその経験を生かして持ち時間が最も長い9時間となるので、一手一手をより深く考えて、シリーズを通して面白い将棋を指していけるようにと考えています」

 その口ぶりからは活字では表現できない風格を感じました。何度か前夜祭に訪れている編集担当さんもこんな風に言っていました。

「藤井名人も永瀬先生もつっかえることが全くない上に分かりやすい表現で、タイトル戦をこなすごとにスピーチが上手くなっている印象があります。盤上も盤外も場数の経験、なんでしょうね。羽生先生のスピーチも然りですし」

永瀬先生、とっても素敵な笑顔だな

 前夜祭で強く印象に残ったこと。もちろん羽生会長や藤井名人もそうなのですが……。

「永瀬先生、とっても素敵な笑顔だな」

 将棋ファンの中では周知されていますが、永瀬九段は〈軍曹〉の愛称を持ち、公式戦だけでなく研究会などでも徹底的に将棋に没頭しています。そんなストイックな永瀬九段も、前夜祭の場ではこんな笑顔を見せるとは。それは対局2日目、永瀬九段から見て敗戦に終わった終局後にも感じることになるのですが――。〈つづく〉

#2に続く
「こ、この飛車…何なの?」藤井聡太の100手目に棋士が騒然「こういうの、大好きだもんね」佐々木勇気は熱心に…“TVに映らない”名人戦舞台裏
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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