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野球クロスロードBACK NUMBER
今センバツでも増えなかったホームラン…“飛ばないバット”に甲子園球児のホンネは?「力だけでは飛ばない」「木製より打球が落ちてきやすい」
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/03/28 06:03

木製バットでフルスイングする花巻東の古城大翔。「飛ばないバット」以降は、木製を使う選手も目につくようになった
◆二松学舎大付・花沢莞爾=3年生/通算11本塁打
「バットの芯に当てることよりも、ボールをしっかり見ることを意識しています。スイングスピードを上げることによって、より自分に近い位置まで見ることができるので、振る力をつけています」
◆敦賀気比・小林拓斗=3年生/通算8本塁打
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「今のバットだとボールをバックスピンさせないと飛ばない。先っぽで捉えてしまうと打球がすぐに失速してしまうので、『インパクトをどこにすればいいか?』と考えた結果、今までより手元に引き付けてしっかりバットを振り切ろうと思いながらやっています。力には自信があるので、詰まったとしても外野の前には落とせるだろうと」
「飛ばそうと思わず、コンパクトに」
◆天理・伊藤達也=3年生/通算12本塁打
「飛ばなくなったからといっても『飛ばそう』とは思わず、今まで以上にコンパクトにバットを振ることを意識しています。そのなかでちゃんとボールを捉えられるように、摺り足気味からノーステップにタイミングの取り方を変えました」
◆智弁和歌山・福元聖矢=3年生/通算18本塁打
「バットが変わったからというより秋までは体ができていなかったので、オフはチームとして『体から日本一を作ろう』ということで土台作りをしてきました。最初は食事の量を増やして、そこからウエートトレーニングで体を大きくしていきました。その結果、バットが変わっても飛距離が伸びたような気がします。
去年の夏の甲子園(霞ヶ浦戦)で先輩の2者連続ホームランを目の前で見て『自分も甲子園で打ちたいな』と思いましたけど、そこを意識しすぎてバッティングを崩すのが嫌なんで、チームの勝利第一を心がけています」
◆◆◆
いくら長距離ヒッターとはいえ、彼らはチームの勝利を最優先としたバッティングを心がけることが大前提と言った。ただその反面、大飛球が甲子園の外野スタンドに到達した瞬間の、あの大歓声を味わってみたいという正直な声もあったのは事実だ。
彼らはまだ進化の過程にある。
夏になれば、またホームランの数は増えるだろう。そして甲子園は、高校生の技術の高さに喝采を浴びせる。
