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「今、その話は必要か?」森保一監督が明かす、日本代表選手を叱った日…“じつは怖い上司”説、本人に聞く「厳しく指摘するのは年2、3回」 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2025/03/26 11:38

「今、その話は必要か?」森保一監督が明かす、日本代表選手を叱った日…“じつは怖い上司”説、本人に聞く「厳しく指摘するのは年2、3回」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

NumberWebのインタビューに応じた森保一監督(56歳)

「1人ひとりに尊重を欠いてはいけませんが、日本代表において何より優先されるのはチーム。各自に成功したいという気持ちがあることは理解していますが、目標を成し遂げるためにチームが最も高い優先順位にこなければいけない。なので結構、きつく言わせてもらいました。

 すぐに話をした理由は2つあります。1つは練習が終わってから指摘しても伝わるものが伝わらなくなると考えたから。もう1つはその日の練習がフワッとなったらすごくもったいないから。最高の集中度で臨んでほしかったんです」

 誰よりもチームが優先される――。これは森保哲学の根幹だ。

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 サンフレッチェ広島の監督時代(当時48歳)、FWピーター・ウタカに厳しい言葉を投げかける場面がNHKの人気ドキュメンタリー『プロフェッショナル 仕事の流儀』で流れて大きな話題になった。「ウタ、攻撃がとぎれたら、まず守備にもどって」「休んでいるときも守備を忘れないで!」。たとえエース格の外国籍選手だろうが遠慮しない。

森保監督が課す“3つのルール”

 56歳になった今でも、その基準は一切変わっていない。

「チームにとって許容できない線を越えたら必ず話をします。今、日本代表で選手たちに課すルールは『時間を守る』、『内部の問題は内部で解決する』、『SNSに注意する』の3つのみ。

 課しているのはそれだけですが、大前提として1人ひとり個性が違う中、みんなが成長できるように、心地よく快適に生活できるようにピッチ内外で行動していこうと伝えています。

 厳しく指摘するのは年に2、3回もありませんが、おおよそ次のように訴えます。『いろんな個人の思いがある中で、何のために戦っているのか。日本のために戦っているということは忘れないでほしい。試合で起用されても起用されなくても、選手個々の成長に絶対つながると確信しているから、みんなのことを招集させてもらっている。個人の価値を上げるという考えだけの人は、それはクラブでやってほしい』というような内容です。

 ピッチ上に11人選手がいる中で、特定の1人を取るのか、残り10人を取るのか。チームの活動で言えば最近は27人を招集しているので、特定の1人を取るのか、残り26人を取るのか。答えは明らかです」

「お前、何を言うとるんじゃ!」2度叱られたマツダ時代

 厳しく投げかける側にもエネルギーが必要で、活動ごとに選手を集める代表チームでは叱責は合理的ではないという見方もあるだろう。当該選手をひっそり招集外にすることも可能なのだ。

 だが、森保監督はできる限り向き合おうとする。なぜか?

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