誰も知らない森保一BACK NUMBER

「今、その話は必要か?」森保一監督が明かす、日本代表選手を叱った日…“じつは怖い上司”説、本人に聞く「厳しく指摘するのは年2、3回」 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byKeiji Ishikawa

posted2025/03/26 11:38

「今、その話は必要か?」森保一監督が明かす、日本代表選手を叱った日…“じつは怖い上司”説、本人に聞く「厳しく指摘するのは年2、3回」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

NumberWebのインタビューに応じた森保一監督(56歳)

 おそらく自身の現役時代、恩師・今西和男に叱られた経験が関係している。マツダとサンフレッチェ広島で総監督やGMを歴任した今西。長崎日大高校を卒業し、無名だった森保をマツダに採用した人物である。

 本連載の第12回で取り上げたように、森保は今西を2度激怒させたことがある。

 1度目はマツダ入団2年目のこと、森保がまだ19、20歳のころだ。当時Bチームだった森保はAチームの試合を見ないで帰宅してしまった。にもかかわらず翌日、森保は今西に「なぜ、僕はまだ(Aチームで)使ってもらえないのですか?」と質問した。その瞬間、今西はこう叱責した。

ADVERTISEMENT

「お前、昨日のトップの試合も観もせんで、何を言うとるんじゃ! そうせんにゃー、どういうプレーをすればチームに貢献できるか、分からんじゃろうが!」

 2度目は同じくマツダ時代。Aチーム入りして韓国へ遠征したものの、森保は出番を得られなかった。試合後、森保はチーム用具をバスに積むと、チームメイトよりも先にバスの席に着いてしまう。今西は車内で待つ森保を見つけると、間髪入れず怒鳴りつけた。

「試合で疲れとる選手がおるのに、何で先に座っとるんや! お前が席に着くんは、全員が乗り込むんを見届けてからじゃろうが」

「厳しさも絶対に必要だと思います」

 今回あらためてこの2度の出来事を問うと、森保監督ははっきり覚えていた。

「いたらないところを今西さんからしっかり指摘してもらえたのは、ものすごく大きな財産になりました。欠点はなかなか他者に言ってもらえない。自分でも気がつけない。それはダメなんだということを認識させてもらえるのと、認識させてもらえないのとでは、のちに大きな違いになります。

【次ページ】 「厳しさも絶対に必要だと思います」

BACK 1 2 3 4 NEXT
#森保一
#サンフレッチェ広島
#北中米W杯

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ