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“2年目ファーム球団”アドバイザーに和田一浩が「トライするしかない」「球団が存続するため…考えていきたい」オイシックス新潟への思い
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2025/03/08 17:01
オイシックス新潟のキャンプを訪れた和田一浩氏。今季からチームのアドバイザーを務める
「薮田や三上など経験豊富な投手もいてくれたのですが、対戦相手は二軍とはいえプロですから、長いイニングを抑えられる投手が不足していたと思います。短いイニングをつないでいくならゲームになったのですが。
本来は、先発なら5回をきっちりと投げたり、中継ぎロングなら一回りは抑えるなどの役割分担をすべきでしたが、できませんでしたね」
――今年は投手だけでなく、チーム全体を見ることになったのですが、立場の違いは感じておられますか?
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「いや、基本的に(僕の)身体はピッチャーですから、チーム全体については信頼できるコーチ陣を用意できたことが大きいと思います。野間口貴彦ヘッド、黒羽根利規バッテリーコーチ、野手を見る稲葉大樹、伊藤隼太、斉藤秀光コーチと、経験豊富なコーチが揃ったので、選手たちがしっかり見える環境にはなったと思います」
ドラフト「行けそうで行けなかった」期待の左腕とは
――チームは「勝利」と「NPBへの選手の輩出」という2つの目標があります。
「シンプルに去年の成績(イースタンで41勝79敗6分)を上回るのが目標ですね。そうなるとNPBチームとの差をどう埋めるのかがテーマになってきます。若い選手が思い切りやってくれるのもいいですが、年齢的にぎりぎりな選手にも活躍の機会を与えていきたいですね」
――独立リーグの選手なら、NPB球団はどんな選手かわからない「未知」の部分に期待してドラフト指名しますが、ファームリーグのチームは140試合ずっと、NPB球団に見られています。
「難しいところですね、戦いながら選手の弱点も見られています。弱みはできるだけ見せないようにしたいですが、当たり前のことを当たり前にやるっていうのが難しいことなので、それが普通にできるチーム体制にしていければと思います」
――昨年は、下川隼佑選手が東京ヤクルトスワローズから育成3位で指名されました。NPB入りはその1人だけでしたが?
「去年、行けそうで行けなかった目黒宏也という左投手がいますが、2年目の今年は身体も出来上がってきて、いろいろ学んで勝負してくれると思います。彼以外にも力を持っている選手はいるので、NPBに行く選手がたくさん出てくるのではないかと期待しています」
貫禄十分だった橋上前監督とは対照的に、武田勝監督は、選手の先頭に立って引っ張っていく若さがあった。明るいチームになっていくのではないかと思った。
和田一浩が語る「トライするしかないんです」
この日、練習を鋭い視線で見つめる野球人の姿があった。西武、中日で2050安打を記録した和田一浩氏だ。

