プロ野球PRESSBACK NUMBER
甲子園制覇の高校No.1捕手“まさかの指名漏れ”の裏側で…「正直、自分は指名されないと…」ヤクルト“ドラ4指名”同級生の現在「寿命の長い選手に」
text by

沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2025/03/07 06:00
昨春センバツ優勝校の健大高崎からヤクルトに入団した田中陽翔。チームには「高校No.1捕手」箱山遥人も在籍したが、指名漏れ。明暗分かれる結果となった
その2日後に後輩たちが戦う秋季関東大会が行われ、3年生全員で応援に行った。だが、そこで見せた箱山の表情はどこか吹っ切れていたようだった。
「箱山はスタンドの最前列で応援していましたけれど、めちゃくちゃ大きな声を出して元気いっぱいでした。一時は”野球を辞める“とか言っていましたけれど、あの時はだいぶ気持ちも切り替わっていたようでしたし、僕も少しホッとしました」
「いずれはプロの世界で戦いたい」
思わぬ形で“明暗”が分かれたドラフト会議。ネガティブに捉えられても仕方ないが、今は田中も前向きに受け止めながら1日1日を過ごしている。
ADVERTISEMENT
「箱山は3年後また指名のチャンスがありますし、箱山もそうですがいずれは健大高崎で一緒に戦ったメンバーと、プロの世界でも戦いたいです」
夏の甲子園が終わってもトレーニングなどは続け、年末までの4か月で実は体重を8キロ増やしたのだという。
「バッティングの人になりたいというか、打つ方でアピールできる選手になりたいんです。今はまずプロの環境に慣れること。先輩みなさん優しいですし、良い環境でやらせてもらっています。
今年の目標はケガをしないで1年間プレーすること。プラス何かの結果を残したいです。来年、再来年くらいに一軍に行けたらいいですが、そのための身体作りを今はかなりやっています。自分としてはプロで20年間はプレーできる寿命の長い選手になりたいです。バッティングなら中距離打者として、守備は堅実さをアピールしていきたいです」
理想はかつて指導を受けた宮本慎也氏のような遊撃手だ。まずは鍛錬をしっかり積み上げ、“盟友”との戦いを待つ。背番号54の若い背中は、気迫とやる気をみなぎらせ、プロ野球界の階段を一段ずつ登っている。

