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壮絶がん闘病中に“電流爆破”を…53歳で死去・西村修はなぜリングに立とうとしたのか?「まだ、やり残したことがある」カメラマンが最後に話した日
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/03/02 17:00
西村修は2月28日、53歳の生涯を閉じた。真面目に真剣にプロレスと向き合った男だった。2024年8月27日撮影
「人間は、諦めたらおわり」西村修のメッセージ
西村は2月16日、SNSにこんなメッセージを残している。
「生きてるのか死んでるか、わからないくらい苦しかったこの一週間。しっかり生きています プロレスで鍛えた体力がまだまだ冴え渡る。あとは、これ以上落ちれないから、上がるだけ 頭は変わらず禿げてますが、こちらも生やすだけ 落ちた筋肉も、あとは増やすのみ 人間は、諦めたらおわり。あと数日にて議会復帰します」
2017年夏、師匠カール・ゴッチの墓を南千住の回向院に建てるために、アントニオ猪木の協力を得て尽力したのは西村だった。ゴッチの墓碑には日本語でこう書いてある。
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「技術と精神は常に一緒だ 決して嘘をつくな 決してごまかすな そして 決して放棄するな」
こんな言葉も西村は好きだった。
「When you are young, you should train. When you are old, you must train」
コブラツイスト。
エルボースマッシュ。
ジャパニーズレッグロールクラッチ。
ニードロップ。
スピニングトーホールド。
黒いショートタイツに黒のリングシューズ。
時にはマツダのように裸足の時もあった。
「無我」を背負った男。西村修……。




