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「精神的に毎日がきつかった」日本代表の10番・中村俊輔がいま明かす“失意のW杯”「チームメイトも腫れ物を触るように俺を見るわけで…」《NumberTV》

posted2025/02/27 11:07

 
「精神的に毎日がきつかった」日本代表の10番・中村俊輔がいま明かす“失意のW杯”「チームメイトも腫れ物を触るように俺を見るわけで…」《NumberTV》<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

サッカー日本代表の10番、ファンタジスタとして世界を魅了した中村俊輔がNumberTVで自らの「挫折地点」を明かした

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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Takuya Sugiyama

  長く世界を魅了したファンタジスタ・中村俊輔の成長力は、 道を絶たれ、涙に暮れたあのとき培われていた。「Sports Graphic Number×Lemino」制作のドキュメンタリー番組NumberTVから特別記事を掲載する。<全2回の後編/前編も公開中>

<自ら編み出した“成長トライアングル”によって2000年には史上最年少の22歳でJリーグMVPに輝き、その後レッジーナ、セルティック、エスパニョールと欧州で7年半にわたってプレー。日本代表では勝利なしに終わったドイツワールドカップの悔しさを晴らすべく、南アフリカ大会に全精力を注ぎ込んでいく。だが、ここでもう一つの大きな挫折に直面することになる。>

「毎日がきつかった」失意の南アフリカW杯

 ケガもあって調子が上がらず、本大会直前になってレギュラーから外されてしまう。「日本代表のため」との強い思い入れが、そのまま失意となってはね返ってきた。

「精神的に毎日がきつかった。チームメイトも腫れ物に触るように俺を見るわけだから。それでも明るく振る舞ったつもりだし、ベテランの自分が練習中でも声を出してやっていればチームも元気になると思った。

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 でも中3のときと違ったのは、ナラ(楢﨑正剛)さん、オカ(岡崎慎司)たち同じような境遇の選手と思いを共有できたこと。ましてや自分の師匠と言っていい(川口)能活さんがチームのためって動いているんだから不貞腐れてなんていられない。それに中国でのアジアカップ(04年)ではサブに回る先輩たちが相手役をやってくれたり、タオルを持ってきてくれたり顔色を変えずにサポートしてくれていた。そういったことも日本代表の伝統だから」

 苦しいときこそ、自分と向き合ってボールを蹴ればいい。事前合宿地のスイス・サースフェーでは全体練習が終わっても、自主練を欠かすことはなかった。

 南アフリカから2年半後、挫折をエネルギーに変換していく真骨頂を発揮するかのごとく、中村は史上初となる2度目のJリーグMVPを受賞する。何があろうとトライアングルをずっと回してきたことで、44歳まで現役キャリアをまっとうできた。

 現在、横浜FCのトップチームコーチに就任して、3シーズン目を迎えている。

「控えの選手、ベンチの選手の心情は多少なりとも分かっているつもり。“若手なんだからもっとやれよ”という感覚にはならない。きついことはきついから。今しかできないことがあると伝えれば自然と焦らないでやるようになるし、自分としては一緒にコツコツと寄り添っていきたい」

 苦しい試練が成長の養分になることは心に刻まれている。次世代に経験を伝えていくことがサッカーへの恩返しとなる。 

<前編から続く>

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