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ラグビーPRESSBACK NUMBER
「ミーティングは4時間」「納得してもあえて反論する選手も」なぜ桐蔭学園はいまラグビー界で圧倒的なのか…“令和の常勝軍団”の強さの秘密とは?
text by

大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/26 11:05

1月の全国高校大会で連覇を果たした桐蔭学園の選手たち。現役はもちろん、OBたちも破格の活躍を見せる同校の強さの秘密とは?
勝つためには何か新しいことにチャレンジしなければならない――そして4月、福岡で開かれたワールドユースに出場した桐蔭学園は、リスクを背負ってもパスを繋ぎ続けるラグビーに挑んだ。
「選抜が終わって、自分たちの軸を探そうということになって、ミーティングを重ねて、速いラグビーを目指そうということを決めました。そしてワールドユースで、ラックを作らずに繋ぐラグビーにチャレンジして、外国のチームに勝てた。そこで今年のチームの軸が決まった」申驥世主将はそう振り返った。
チャンスの芽が見えたら、ラックを作らず、パスでボールを繋いでトライを取りきる。多少のリスクはあっても、ワンチャンスで取り切らなければ次のチャンスは訪れない。そう覚悟してのチャレンジだった。そして桐蔭学園は準決勝でオーストラリアのセントオーガスティンズカレッジ高校を破り、決勝では大阪桐蔭に惜敗したものの準優勝の成績を収めた。
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「勝っていなかったからチャレンジできた部分もある。本当は、去年から準備していたことなんです」と藤原監督は言った。どんなところからでもパスを繋いで攻め勝てるよう、パスとキャッチの練習に徹底して取り組んだのは前年からだ。
堅実なプレーでも勝てた昨季…今季は?
だが昨季のチームは、花園大会本番ではオフロードパスで一気にトライを狙うのではなく、着実にラックを作り、フェイズを重ねる策を選択した。昨季の3年生に能力の高い選手が揃っていたことは、大学に進んだ今季の活躍ぶりが証明している。彼らの強さがあれば、リスクを冒さずとも力勝負で勝てる――昨季のチームはそれを選択した。「8-5」というロースコアは、自分たちの強さを信じ、見極めた末の決着だった。
一方で、今季のメンバーにそこまでの強さはない。新人戦や選抜で敗れたのがその証拠だ――その認識が、リスク覚悟のチャレンジを選択させた。
その覚悟が形になったのが決勝の前半最後のトライだ。
相手キックを自陣深い位置で捕り、SO丹羽雄丸がナナメに走ってディフェンダーを混乱させ、相手タックラーを引きつける。そこからCTB徳山凌聖-左WTB西本友哉-FL小川健輔とリズミカルなパスを繋ぎ、最後は再びパスを受けた西本が左中間へ――ボールが一瞬も止まらない、ワクワクするアタックだった。
「ずっと積み上げてきたものが花園で爆発したんだと思う」とFL申驥世主将は胸を張った。