ツバメのさえずり日誌BACK NUMBER
《つば九郎担当スタッフ逝去》さらば“戦友”…最も知る仕掛け人の秘話「つば九郎なら巨人に勝てる」「フリップ芸はドアラのイベントの暴走から」
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKenjiro Kato
posted2025/02/23 11:03

つば九郎の「仕掛け人」としてファンにも知られていた加藤謙次郎氏。数々の秘話を明かしてくれた
常に野球愛があった
グラウンド上で大暴れするつば九郎だが、落ち込んだり傷ついている選手を茶化したり、試合に集中したいタイミングで選手に絡んで行くようなことは絶対にしない。その根底にはまず、野球への大きな愛がある。
「自由奔放に見えるけれど、実際には空気をしっかりと読んでいい距離感を保っているんだと思います。大前提として野球が好きで、野球選手に対してリスペクトを持っているのは間違いないと思います」
加藤さんは、14年からはNPBに出向して「侍ジャパン」の事業に携わった。18年に独立してからは、サッカーJリーグ湘南ベルマーレの営業の仕事や、女子ソフトボール「ニトリJDリーグ」の事務局長を務めるなどさまざまな分野で活躍した。
つば九郎は唯一無二のマスコット
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「ヤクルトを離れて侍ジャパンに出向した時につば九郎はすごく寂しがってくれたけれど、そうは言いながら口を開けば『ジャパンに入りたいんだけど』って。後にその夢を叶えられて日本代表の試合でもご一緒できたのはすごくいい思い出です。
他のスポーツに携わっていると、よくマスコットのことを聞かれるんです。どうやったら人気が出るんですか?って。でも、つば九郎はつば九郎です、としか言いようがない。本当に唯一無二の存在だと思っています」
巨人へのライバル心をきっかけに生まれたタッグでのプロモーションにより、愛されキャラは加速度的に人気を高めた。今ではプロ野球界どころか、スポーツという枠まで超えた知名度を獲得し、担当スタッフの訃報も大きなニュースとして伝えられた。
「改めて凄い存在ですよね。これまでつば九郎がやってきたことを身近で見させてもらって、僕も本当に楽しかった。ファンの方も、つば九郎を見れば必ず笑顔が浮かぶと思う。それはずっと変わらないですし、これからもことあるごとにつば九郎の楽しい記憶を思い出すんだろうな、って思います」

