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「水着の中に手を入れられ…」「新人は触られ放題」10代で全女に入団したアイドルレスラーの告白…小倉由美が明かす、過酷な“長与千種の付き人”時代
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伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byL)東京スポーツ新聞社、R)Shiro Miyake
posted2025/02/21 11:15
全日本女子プロレスでデビューし、ドラマ「輝きたいの」にも出演した元女子プロレスラー・小倉由美さんのインタビュー(第1回)
――ほかの共演者の思い出はありますか。
小倉 和田アキ子さんはもうあのままで、結構ズバズバ言う人。当時の銀バス(全女の選手が乗車する移動バス)を使って撮影もしてたんですけど、みんなが犬を飼ってたし、洗濯物も干すし、荷物がいっぱいだったから、「とにかくこのバスは臭い!」って怒ってました(笑)。順子ちゃんは、自分に正直な人。世間で言われた「わがまま」とかそんなことはなく、普通にくだらない話をして笑ったり。菅原文太さんで印象に残ってるのは、控室。いつもね、あったかいストレートの紅茶にブランデーを入れて飲んでるんですよ。「大人ってこうなんだ」って思ってました。
――翌85年にも、連ドラ「毎度おさわがせします」(TBS系)にクラッシュ・ギャルズ(ライオネス飛鳥&長与)らと一緒に出演しましたね。主人公は、同じくドラマデビューの中山美穂さんでした。
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小倉 私は美穂ちゃんと、ダンプ松本さんたちみたいにそんなに仲良くはなくて、会えばごあいさつをするぐらいでしたけど。待ち時間に廊下で、新曲なのかわかんないけど、歌いながら踊ったりっていう練習をしてましたよ。まだ10代で、顔は小さいしお人形さんみたいで、かわいかったです。ドラマが終わっても、私はちこさん(千種の愛称)の付き人をやってたんで、しょっちゅう緑山のスタジオに行ってましたね。
「いいとも!」生中継にライオネス飛鳥がまさかの遅刻で…
――人気絶頂期の千種さんの付き人だったんですよね。
小倉 はい。選手は試合会場までバスに乗っていくけども、クラッシュは芸能の仕事に行ってから会場に向かうんで、そこに私も(自分の)衣装を持ってついていってました。忙しかったですよね。気づいたときにはもう、クラッシュ・ギャルズがすごいブームになっていて。地方から帰ってきたあとの後楽園ホールが超満員で、ものすごいびっくりしたことを覚えてます。「あれ? このあいだまで地方の何百人のところでやってたのに、なんだ、この変わりようは」みたいな。新人ながらに、急激な変化に驚きました。
――付き人って、どんなことをするんですか。衣装持ちとか……。
小倉 それぐらいです。「あれやれ」「これやれ」と言わない方なので。現場では小間使いみたいな感じですけど、タイムスケジュールに沿って一緒に動いてたので、ゆっくりする時間はぜんぜんないです。移動時間は疲れて寝ていらっしゃるので、私もその時に一緒に寝るようにして。いまでもそうなんですけど、乗り物に乗ると眠くなるんですよ。特に車とかバスは。
――付き人時代の睡眠方法が抜けないんですかね。
小倉 だと思います。移動中だけ休めたあのころを、体が覚えてるんですかね。
――ほかに思い出に残っていることはありますか。
小倉 「笑っていいとも!」(フジテレビ系)かなぁ。ともさん(飛鳥の愛称)がね、遅刻してきたんですよ!
――生放送の「テレフォンショッキング」で、飛鳥さんが来るまでの数分間を、千種さんがタモリさん相手につなぐという、あの伝説の回ですね。
小倉 そうです! もう、こっちが泣きそうでした。「まさかの生で遅刻?」みたいな。「来ない……」って、胃が痛くなる思い。
――控室で、千種さんはイライラしていました?
小倉 そりゃ……(していた)。小川さん(当時のクラッシュのマネージャーで、現在は「ロッシー小川」としてマリーゴールド代表)とちょっと、いざこざというか。


