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アプリリアの小椋藍、開幕前テストで好感触! その小椋を笑わせた、MotoGP最速マシンで好調のマルク・マルケスが放ったジョークとは? 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2025/02/18 11:01

アプリリアの小椋藍、開幕前テストで好感触! その小椋を笑わせた、MotoGP最速マシンで好調のマルク・マルケスが放ったジョークとは?<Number Web> photograph by Satoshi Endo

MotoGPクラスのウインターテスト後半、タイのチャーン・インターナショナル・サーキットでアプリリアを駆る小椋

 その小椋がテスト後に発したのは、「経験することで不安は少なくなっていく。仮にビリだったとしてもMotoGPマシンに乗ったということでは不安は減少していくものだし……」という言葉。約2800km走った分、不安はなくなり、MotoGPマシンを乗りこなすという自信を得たようだ。

「でも、シーズンが始まったら、マレーシアやタイのように気温が高いサーキットばかりではないし、タイヤのことなど、まだまだ学ばなければいけないことがある。タイで開幕戦を迎えるのは、自分にとってはいいことだと思う」

 小椋の評価は彼を取り囲む取材陣の数が物語るし、ライダーたちも小椋のポテンシャルの高さを感じ取っている。小椋のマシンがアプリリアではなく、チャンピオンマシンのドゥカティだったら、どんな走りをしたのだろうかと想像させたし、期待させるものだった。

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 マレーシアテストを終えてライダーたちがタイに移動し、首都バンコクで盛大に行われたMotoGPのイベントに参加したとき、小椋はマルク・マルケスに声を掛けられた。

「MotoGPマシンはどう?」「少しずつ慣れているところです」という挨拶程度の会話だったというが、最高峰クラスで6度のタイトルを獲得した生けるレジェンドのマルケスから声を掛けられたことに小椋は驚いた。

 イベントが終わって選手たちが数台のカートに分乗して退場していくときにも、小椋はマルケスと隣り合わせになった。タイでも圧倒的人気で、ファンの大声援に包まれたマルケスが、小椋に「オグラ、すごい人気だな」とジョークを言って笑わせてくれたのだそうだ。

 Moto3、Moto2時代から、小椋はマルケスのとんでもないパフォーマンスを見てきた。どうしてあんなことができるのだろうと「腹が立つ存在」だったが、同じ舞台で戦う今年はマルケスが大きな目標になる。今回のテストでも「マルケスのタイムはまるで見えない」と彼我の差を突きつけられたが、シーズンはマルケスとのタイム差をいかに削り取っていくかが問われる。

マルケスがワークスマシンで見せた底力

 そのマルケスは、テストを終えて7回目のタイトル獲得に大きく近づいた印象だ。マレーシア、タイともに連続ラップではライバルたちを圧倒。ベストタイムはマレーシアで5番手、タイではトップタイムだったが、コース脇で見ているとまだまだ余裕があるように見えたし、本気でアタックしたらどんなタイムが出るのだろうと期待させる走りだった。

 昨シーズン、ドゥカティのサテライトチームで3勝を挙げて復活を感じさせたマルケスは、今季チャンピオンチームのドゥカティ・ワークスに移籍した。ずばり、開幕Vの可能性は高く、マルケスが今年の主役に浮上することは間違いない。

 そしてもうひとつの注目は、この数年、低迷を続けてきたホンダとヤマハが復活の兆しを見せてくれたこと。日本のレースファンにとっては、久しぶりに楽しいシーズンになりそうだ。

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