酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「ノッカー、もっとちゃんと打ってよ!」田口麗斗がヤジ、「古田敦也が臨時コーチで…」つば九郎と村上宗隆不在もヤクルトキャンプは温まっていた
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2025/02/12 11:00

田口麗斗はヤクルトキャンプを大いに盛り上げていた
古田氏は毎年、古巣のキャンプを手伝っている。今年8月で還暦のはずだが、相変わらずキャッチングは惚れ惚れする。
スピードガンで球速を測ってもらい「77キロ、あれ? もっと出るはずやがなあ」などと言っている。このあたり、アットホームな空気のヤクルトキャンプならではだ。
少しインターバルがあって、ヤクルト投手陣がブルペンに出てきた。最初に投げたのは星知弥、今年31歳の中堅クラスだ。1球1球感触を確かめるように投げている。すでに腕の振りは鋭く、仕上がりの良さを感じさせた。続いて田口が現れる。この日は、田口ばっかり見ているような錯覚に陥る。こちらも軽快に投げ始める。この軽さ、柔らかさも田口の持ち味だろう。
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その横は、同じ左腕の新人・荘司宏太だ。昨年のドラフト3位、社会人のセガサミー出身だから、即戦力の期待が高い。岡島秀樹のように投げるときに斜め上を向く「あっち向いてホイ」スタイル。新戦力の投球を、古田氏は打席に立って凝視している。
新加入の茂木のバットスピードも…
一番手前のレーンに高橋奎二が入った。彼も左腕。こうしてみるとヤクルトは左腕王国だ。いきなり投げ始めた剛速球に報道陣が色めき立つ。カメラが、近くで映像に収めようと、ブルペンのぎりぎりまでにじり寄っていく。
とにかく腕の振りが速い。ミットを叩く音も他の投手とは別物だ。この投手は「規定投球回数」と「二けた勝利」の壁に苦しんでいる感があるが、ブルペンで投げている球は、他球団のエース級と全くそん色がない。これは期待できるのではないか。高津臣吾監督もずっと高橋を凝視していた。
ランチタイムに入って、メイングラウンドでは「特打」となる。昨年までは村上がフェンス越え連発の大飛球を連発してファンの度肝を抜いたのだが、今年はそれがないのがやや寂しい。ケージに入ったのは、新加入の茂木。鋭い打球を飛ばしている。左打者の茂木だが、反対方向の左翼へのスタンドインの打球もあった。バットスピードはかなり速い印象だ。
なお村上は2月11日から一軍合流したという。それに加えて二軍調整中の塩見泰隆の動静も気になるが、巨人、DeNAが大戦力を整備する中、ヤクルトの今季のスローガン「捲土重来」はなるのだろうか――注目したい。〈つづく〉
