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「10年前のドネアだったら…」激闘王・堤聖也vs43歳ドネア死闘12ラウンドを英国人記者はどう見た?「ツツミは幸運だったと思う」

posted2025/12/20 06:00

 
「10年前のドネアだったら…」激闘王・堤聖也vs43歳ドネア死闘12ラウンドを英国人記者はどう見た?「ツツミは幸運だったと思う」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ノニト・ドネアに判定勝ちを収め、2度目の防衛を果たしたWBA世界バンタム級王者・堤聖也

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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Takuya Sugiyama

腫れ上がった顔面、曲がった鼻。試合翌日、メディアの前に姿を現した堤聖也の顔が“激闘”を物語っていた――。ノニト・ドネアとの壮絶な12ラウンドを海外の記者はどう見たのだろうか。米リング誌でPFPランキングのパネリストを務めるジャーナリスト杉浦大介氏が取材した。【NumberWebレポート全2回の前編/後編に続く】

 WBA世界バンタム級王者・堤聖也(角海老宝石)は12月17日、両国国技館で行われた2度目の防衛戦でノニト・ドネア(フィリピン)に際どい2-1の判定勝ちを収めた。序盤はドネアが優勢。4回には右パンチでダウン寸前に追い込まれながら、堤は後半ラウンドに猛然と反撃する。5階級制覇の“レジェンド”に競り勝った姿は、“現代の激闘王”“名勝負製造機”といった呼称を授かるに相応しい。

 最新の死闘の中で、勝負を分けた要素は何だったのか。この戦いを総括するため、リングマガジンの編集人を務める英国人ライター、トム・グレイ氏に意見を求めた。グレイ氏は軽量級、アジアのボクシングにも精通しており、2019年には日本で井上尚弥(大橋)対ドネア戦を現場取材している。それほどの日本ボクシングエキスパートは、43歳という年齢を感じさせない健闘を見せたドネアに敬意を払いつつ、不屈の戦いを続ける堤を“ウォリアー”と称賛した。(以下、グレイ氏の一人語り)

「私の採点は“引き分け”だった」

 ツツミ対ドネア戦の前半は、軽量級史上に残る“レジェンド”であるドネアが時計の針を巻き戻したように好調に見えた。4ラウンドには右でツツミを激しく効かせ、その後のパンチで顔面にダメージを与えた。私はドネアに最初の6ラウンドのうち5つのポイントを与えている。ただし、後半はツツミが巻き返し、ドネアが奪ったのは6ラウンド中の一つだけ。だから私の採点では引き分けだった。

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 とはいえ、ツツミが勝者になったことに不満はない。ジャッジが115-113でどちらかに振ったとしてもまったく文句はない内容だった。117-111でツツミというジャッジが1人いて、それだけは現実からかけ離れていたとは思うが。

【次ページ】 「10年前のドネアだったら…ツツミは幸運だった」

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