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井上尚弥ラスベガス決戦の相手は“国立大に通う秀才ボクサー”? 「24歳アラン・ピカソ」とは何者か「IQが高くメキシコ人らしい強烈ボディが武器」
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byHiroaki Yamaguchi,Getty Images
posted2025/01/28 11:02
井上尚弥の次戦の相手と目されるアラン・ピカソ(24歳)
今、ピカソはメキシコシティで次の試合に備えている。ビッグファイトが今春に計画されているのだから、これ以上のチューンナップを挟むことはない。調整試合ではさまざまな悪いことが起こり得るから、リスクを冒すのはいいアイデアとは思えない。
井上と対戦できたとして、もちろん不利の予想が出るのだろうが、私たちはピカソにチャンスがあると信じている。少なくとも井上の前戦の相手であるキムよりは勝機があることは間違いない(笑)。具体的には、ピカソは井上ほどの強打者ではないから、“モンスター”を簡単に倒せるとは私たちも思っていない。ただ、ピカソが聡明さをいかし、アウトボクシングを試みることで井上が相手でも主導権を掴めるのだろう。
「私たちも一緒に夢を追いかける」
ボクサーが強敵との対戦を成立させたいと話しているのであれば、実現するために尽力するのが私たちプロモーターの仕事だ。同じサンフェル・プロモーションズ所属のラファエル・エスピノサが一昨年12月、フロリダ州でWBO世界フェザー級王者ロベイシ・ラミレスに挑んだ時も下馬評は圧倒的に不利だった。エスピノサはアメリカでの実績が乏しかったこともあって、ラミレスはイージーファイトだと思っていたのだろう。ただ、エスピノサは「勝ってみせる」と話し、実際にダウン応酬の激闘の末に判定勝ちで王座を奪取したことはご存知の通りだ。その後、エスピノサはラミレスとの再戦でKO勝ちし、今では人気ボクサーとして確立された。
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私たちは選手の実力を信頼しているからこそチャンスを与える。ボクサーは自身の力をわかっているもので、ピカソも「勝てる」と話している。私たちもそれを信じ、一緒に夢を追いかける。
もちろんボクサーの思い通りにはならないこともあるが、多くの場合、選手が自信を持っている際にはいいことが起こるもの。まだピカソの試合を見たことがない日本のファンにも、井上戦の実現をぜひ楽しみに待っておいてもらいたい。


