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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
田中将大あと3勝、平野佳寿あと1セーブだけでなく…名球会条件「200勝か250S」狙えそうなのは誰?「じつはダントツ412ホールド」鉄腕も
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS,Nanae Suzuki
posted2025/01/25 11:01
田中将大と平野佳寿は名球会条件達成まであとわずか。他の候補者は?
〈現役投手の通算セーブ数5傑と過去3年のセーブ数〉
1平野佳寿(オ)41歳
249S、28S 29S 7S
2益田直也(ロ)35歳
243S、25S 36S 25S
3山﨑康晃(De)32歳
231S、37S 20S 4S
4マルティネス(巨)28歳
166S、39S 32S 43S
5森唯斗(De)33歳
127S、6S 0S 0S
オリックスの平野は長く「勝利の方程式」を担ってきたが、昨年は決め球のフォークを打たれることが多かった。平野はMLBで8セーブを記録しているので名球会入りしているが、あと1つに執念を燃やすか。なお通算セーブ数は岩瀬仁紀の407が最多だが、平野はあと4セーブで佐々木主浩の252セーブを抜いて史上3位になる。2位のロッテ益田も際どい投球が目立つようになったが、何とか踏みとどまっている。DeNAの山﨑はこのところ中継ぎに回ることが多くなっている。
そして当代NPBの絶対的なクローザー、ライデル・マルティネスは今季から巨人に。巨人には通算80セーブ、今年26歳になる大勢がいる。いわゆる「ダブルストッパー」の成功例は少ないが、阿部監督はどんな起用をするのだろう。
“じつはダントツ”412ホールドの鉄腕
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過去3年の成績を見てわかるのは、セーブ記録を積み上げる難しさだ。多くのチームでは、セーブシチュエーションで投げる投手はクローザーただ1人しかいない。どんなに元気でもセーブを挙げる状況で投げなければセーブ数は増えない。DeNAの山﨑や森は現状でクローザーではないので、今後通算セーブ数を積み上げるかどうかは微妙だ。
そういう意味では、前述の80セーブの巨人・大勢はセーブにこだわるのなら、ライデルとのし烈なポジション争いに勝たなければならない。なおパドレス松井は日本通算で236セーブだが、メジャー1年目でクローザー登板はなかった。今後最終回のマウンドに立つことはあるか。
最後に、現役のホールド数上位を紹介しよう。
〈現役投手のホールド数5傑と過去3年のホールド数〉
1宮西尚生(日)39歳
412H、7H 13H 19H
2又吉克樹(SB)34歳
173H、14H 10H 6H
3益田直也(ロ)35歳
172H、8H 13H 6H
4高梨雄平(巨)32歳
158H、25H 23H 25H
5平野佳寿(オ)41歳
156H、8H 5H 1H
リードしている状況でマウンドに上がり、その状態を保ってクローザーにつなげばホールドがつく。ホールドを稼ぐ救援投手を「セットアッパー」という。日本ハムの宮西の412ホールドは2位山口鉄也の273ホールドを大きく引き離し1位。史上最高のセットアッパーと言える。2位以下を見ると、ロッテの益田、オリックスの平野とクローザーと同じ名前がある。クローザーとセットアッパーは配置転換しやすいのだ。そんな中で1位の宮西は通算わずか13セーブ。純粋のセットアッパーと言える。前人未到の数字をどこまで伸ばすのか。ベテランや若手の活躍を楽しみに見たい。
一方で2024年は「投高打低」の傾向が顕著になった。もし今年もその傾向が続くようであれば――坂本勇人が「2500」に迫る安打や柳田悠岐、近藤健介が名を連ねるようになった通算打率など、打者にまつわる大記録にも影響を及ぼす可能性がある。
〈打者編につづく〉