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「原監督、勝ち逃げは許しませんよ(笑)」中央大・藤原正和監督が明かす、“青学大3連覇を止める”箱根駅伝プラン「とにかく太田君が厄介でした…」
posted2025/01/24 11:11
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Keiji Ishikawa
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「お母さまを亡くして、顔つきが変わっていました」
実は10区のランナーを、レース前日まで藤原監督は決めることができなかった。
「1区、2区、3区、そして5区、6区は11月の時点で決めていました。4、7、8、9も年末までには決まりましたが、10区が決まらず、こんなことは初めてでした。4年生の阿部(陽樹)、1年生の並川(颯太)、そして2年生の藤田(大智)の3人が候補で、最終的には藤田に決めました。彼は10月末にお母さまを亡くして、合宿所に戻ってきた時に、顔つきが変わっていました。なにか、覚悟を決めたんでしょう。それ以来、練習も充実していたので、甲乙つけがたい状況でしたが藤田に懸けました」
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藤田は区間4位の好走で総合5位を確保し、藤原監督の起用は当たったことになる。
前回は、体調が思わしくない選手たちに「無理しないでいこう」といういたわりの声を掛けていた監督だが、今回は沿道のファンに向けても声掛けするシーンがあった。
「山上りは特にしんどいので、沿道のみなさんに向けて『応援お願いします』と声を掛けさせてもらいました。選手も勇気をもらったと思います」
「勝ち逃げは許しませんよ(笑)」
箱根駅伝が終わってから、さっそく練習を再開。気は早いが、来年は青山学院、駒澤、国学院、早稲田、中央の優勝争いになるのではないか、と見られている。特に青学大は藤原監督にとっても意識せざるを得ない相手だ。
「とにかく太田君が厄介でした。どんな状態でも箱根には合わせてくる。序盤に突っ込んでいるのに、そのままのスピードを保てる。3区終了時点で2分24秒差がありましたから、1分から1分半の差で5区につなげられるかと思ってましたが、45秒まで縮めてきましたからね。普通、ここまで差を縮めるのは無理です」
青学大は太田をはじめ、6人の4年生が卒業。対して中大は、卒業するのは5区の園木と、6区の浦田のふたりだけで、平地を走った8人は全員が残る。