「ショックで動けなかった」立教大エースが“まさかの落選”…箱根駅伝4位「伝説の学連選抜」選手たちの執念「就活中に電話が…原晋監督からでした」 

　予想通り、実力者の4人は順当にメンバー入り。加えて、拓殖大と國學院大からもう1名ずつ、青学大からも2名がメンバーに選ばれた。佐藤の名が呼ばれ、残りは1名。「立教大、中村」の名前は、最後まで呼ばれなかった。

　中村はしばらく、その場から動けなかったという。

富津合宿での1000×10本のインターバル。先頭を走る中村さんにとっては「負けられない戦い」だった（中村嘉孝さん提供）

　記録会では上位8番か9番目くらいでは走れていた。合宿も出されたメニューをしっかりこなせた。それなのになぜ、と悔しさが溢れた。

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「あの時は正直、原さんだから青学から2人選ばれたのかなって。ズルいなとも思いましたね。多分、佐藤君がいなかったら、心が折れていたと思います」

　名前が挙がった佐藤は、選手ではなく、主務の佐藤信輝（神奈川大・3年）のことだ。

　学連選抜チームには、主催の関東学連から代表して一人が主務に就く。あのスマートなチーム名を考えたり、ガラケーのEメール機能を駆使して選手全員にマメな連絡を送るなど、マネージャーとして献身的なサポートをしていたのが佐藤だった。

「最後のミーティングが終わって、解散になって、でも僕はショックで動けなかったんです。そこに真っ先に駆け寄ってきてくれたのが佐藤君で、『動きは良いから、絶対走れるから、落ち込んじゃダメだよ』って。同学年だったのもありますけど、立教で頑張っているってことにすごく共感してくれて、ほんと彼の言葉に救われましたね」

　さらに、立教大の監督に落選したことを打ち明けると、中村を元気づけようと、OBたちがすき焼きで有名な「浅草今半」へ連れて行ってくれたりもしたという。

「慰労会ではなくて、まだ諦めずに頑張れということでした。準備をしていた者だけが、来たチャンスを生かせるよって。もう食べ放題のように高級肉をいただきましたね」

　先達の助言が、身にしみて思い出されるのはもう少し先のことだ。

「箱根は終わったんだ…」もうひとりの“落選組”も号泣

　この時は、中村の他にも涙を流した選手がいた。

　関東学院大4年の井村光孝もその一人。仲間内からはクールに見られていたが、こんな熱い思いを秘めていた。

「高校時代はそこまで憧れはなかったんですけどね。大学で4年間やる内に、やっぱり最後の箱根はどうしても出たくなって。それこそ練習会の時も一本一本がレースのような気持ちで、キツくてもわざと平気そうな顔をして走ってました」

　しかし、練習で一本、設定タイムを大きく外してしまう。監督はその走りを不安視したのだろうか。井村の名前もまた、メンバー発表時に呼ばれなかった。

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