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箱根駅伝「シューズ勢力図」に異変アリ!? 絶対王者・ナイキの牙城が“8万円超え”爆速シューズで崩され…新興勢力も台頭で「戦国時代」到来!
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph byYuki Suenaga
posted2025/01/13 11:01
厚底シューズ登場以来常にナイキがトップだった着用率に「異変」が! シューズ争いも新時代に突入したのか
5区で区間賞・区間新の快走で3度目の往路Vゴールに飛び込んだ青学大・若林宏樹(4年)も同モデルを着用していた。ナイキはシェアを落としたとはいえ、新モデルのPRに成功したといえるだろう。
アディダスの8万円超えスーパーシューズ
王者・ナイキから首位を奪ったのがアディダスだ。前年の18.3%から倍増となる36.2%と大躍進。前回大会で快走した青学大コンビの影響が大きかった。
100回大会、花の2区で区間賞を獲得した黒田朝日と3区で日本人最高記録を叩き出した太田蒼生だ。ふたりが8万2500円(税込)のスーパーシューズ「アディゼロ アディオス Pro EVO 1」(以下EVO 1)で爆走したからだ。
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EVO 1はウォーミングアップなどを含めてフルマラソン1回分に最大のパフォーマンスを発揮できるように設計されたモデル。最大の特徴は従来のレース用シューズより40%軽い片足138g(27.0cm)という軽さにある。
前回大会の後、太田は、「抜群に軽さが違っていて、履いていても、シューズが気にならないくらいに軽いんです。僕はなかなかすごいペースで入ったんですけど、後半に何回も仕掛けることができた。脚に余力があったのは、シューズのおかげでもあるのかなと思います」とシューズのインパクトを語っている。
着用者が前回の3人から急増
「EVO 1」は大量生産が困難なモデルで、前回大会の着用者は3人しかいなかった。しかし、今季は徐々に有力選手への提供が進んだこともあり、今大会は40人以上が着用したと見られている。
そして2区と4区(青学大・太田蒼生)で「EVO 1」が区間賞を獲得した。なかでも凄まじかったのが花の2区だ。
東京国際大のリチャード・エティーリ(2年)が区間新記録となる1時間05分31秒で区間賞を獲得。さらに創価大・吉田響(4年)が1時間05分43秒、青学大・黒田朝日(3年)が1時間05分44秒をマークした。ふたりは日本人最高記録(1時間05分57秒)を塗り替えただけでなく、区間記録(1時間05分49秒)をも上回ったのだ。