箱根駅伝PRESSBACK NUMBER

青学大“若乃神”に敗れ「山はもう勘弁です」箱根駅伝5区の明暗を分けた“平地走力の罠”…駒大・山川拓馬ら“山の強者”はなぜ失速したか?

posted2025/01/11 17:02

 
青学大“若乃神”に敗れ「山はもう勘弁です」箱根駅伝5区の明暗を分けた“平地走力の罠”…駒大・山川拓馬ら“山の強者”はなぜ失速したか?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

駒澤大・山川拓馬ら、山の強者たちはなぜ実力を発揮できなかったのか。その深層を探った

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

PROFILE

photograph by

Nanae Suzuki

 なぜ、なのか?

 そう思った人が多かったのではないだろうか。

 箱根駅伝の5区でのシーンだ。

ADVERTISEMENT

 今回第101回大会の5区は、創価大の吉田響が登場しなかった以外、まさに“山のオールスター”というべき顔が揃った。青学大の若林宏樹、駒澤大の山川拓馬、早稲田大の工藤慎作、城西大の斎藤将也らだ。

4代目・山の神への期待

 なかでも10000m27分59秒53の若林、27分45秒12の斎藤の27分台組と、出雲駅伝3区2位、全日本大学駅伝8区区間賞と駅伝で強さを見せた山川には、いずれかが山本唯翔(城西大―SUBARU)の第100回大会での区間記録(69分14秒)を大きく更新、チームの優勝にも貢献して「4代目・山の神」になるのではないかという期待が膨らんだ。

 いざ蓋を開けてみると、若林が期待通りの走りを見せ、69分11秒と2年連続で区間記録を更新。第81回大会で「初代・山の神」の今井正人が今回とほぼ同距離(コースが微妙に異なる)の20.8キロでマークした69分12秒の記録をも超えた。

 区間新をマークし、チームを往路優勝、そして総合優勝に導いた功績は大きく、個人的には4代目と呼ばれてもおかしくはないと思った。だが、今井の記録の更新幅が1秒だったことが圧倒的とはみなされなかったのか、「山の神」襲名の風は吹いてこなかった。

不完全燃焼だった実力者たち

 若林の走りは素晴らしかったが、一方で同じように期待された山川は70分55秒で区間4位、斎藤は70分50秒で区間3位と、悪くはないが、彼らの力からすればやや物足りない結果に終わった。

 ふたりとも抜群の走力を持ち、山にも強い。山川は1年時、70分45秒で5区4位と結果を残していた。斎藤は、2022年の激坂最速王決定戦(13.5キロ)で城西大の先輩の「山の妖精」こと山本に1分近い差をつけて勝った。走力と実績があるふたりがなぜ今回、最高の結果を残せなかったのか。

山志望だった吉田響の証言

 そのヒントが聞けたのは、今回は5区ではなく2区を走った創価大の吉田響からだった。前半から惜しみなく主力を投入し、流れを作って往路優勝に繋げるという榎木和貴監督の戦略から吉田が2区に置かれたわけだが、実はそうした事情以外にもうひとつ、吉田自身の走りの変化も2区起用の背景にあった。

【次ページ】 平地の走り方が山には合わない

1 2 3 4 NEXT
#若林宏樹
#吉田響
#斎藤将也
#山川拓馬
#山本唯翔
#青山学院大学
#創価大学
#城西大学
#駒澤大学

陸上の前後の記事

ページトップ