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平日は不動産業、土日は「サッカーが休日です」J入りしなかった“高校サッカー得点王”江原淳史51歳の今「それ以外で賑わす子も出てくれば…」
text by

生島洋介Yosuke Ikushima
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/02/06 11:03
かつて高校サッカー選手権得点王に輝いた江原淳史さん。今は中学生年代の指導に携わる
「いつもできないと思っていたいというか、できると思ったら、ダメになっていきそうな気がしてて。もっとなにかあるだろうって思わないと、萎んでいっちゃうんだろうなって。だから、サッカーがないと自分に帰れないというか」
メガレンジャーを演じながら「きっといつかは戻る」と考えていたが、その通りになった。高校と大学時代にサッカーで脚光を浴びた後、様々な職を経験したからこそ、仕事とサッカー指導に向き合う上での独特なスタンスを持っている。
「自分の見せ方って大事だと思っています。それをちゃんと発信できてるのかなっていうのは、毎朝思いますね。 だから変な話、実は尊敬されたくないし、出世したくないし……っていうような気持ちも常にあるんですよ」
自分も人の言うことなんて聞かなかったからこそ
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ジュニアユース監督としての江原は、3年間持ち上がり制を取るチームの指導(2025年、新年早々にはイタリア遠征にも同行した)だけでなく、小学生の大会へ通ってスカウティングし、またユース年代の大会にも足を運んで教え子の試合を見たり、チームとの関係づくりに勤しむ。
選手権アイドルはどんな指導者を目指しているのだろうか。
「教えているのはしっかり止めて、正確に蹴るという基本。練習でやっていることもベーシックなことばかりです。高校やユースに上がったときに、周りと競うのに苦労しないレベルにはしてあげたいと思っています。
この年代の子に思いを伝えるのはなかなか難しいですよ。自分も人の言うことなんて聞かなかったし。心がけているのは、伝える言葉を絞って、言い続けるってこと。いまって情報は溢れかえっているけど、本当にやらなきゃいけないことって多くないから」
選手権はやっぱり面白いですよね
そのアヴェントゥーラ川口のトップチームは、一時は埼玉県社会人リーグ2部に降格したが、2018年に同1部に復帰すると、2021年から関東リーグ2部に昇格。同年に天皇杯初出場を果たし、一昨年はリーグ4位の成績を残した。ところが、昨季のリーグ戦で最下位に沈んでしまい、今季は再び埼玉県リーグで戦うことになった。ピーク時は元Jリーガーを8人抱えるも、関東1部へのステップアップは叶わなかった。その先のJFL、そしてJリーグへ上がっていくには、どういう体制でチームを作っていくべきか、江原は理事の立場で環境づくりを模索する日々を送っている。


