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「いまは山に妖精や名探偵までいるけど…」箱根駅伝“5区で区間新”青学大・若林宏樹が語った“若乃神”秘話…「最初は何、言ってんだろうと(笑)」
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph byNanae Suzuki
posted2025/01/05 11:02
山上りの5区で区間新記録をマークした青学大の“若乃神”こと若林宏樹(4年)。山の神ではないオンリーワンの存在になれたのだろうか
結果的にこの年は、若林を欠いたことで山区間にスクランブルが発生。代わりに走った選手が力を発揮できずチームは3位と敗れ、優勝を逃すことにも繋がった。
その後は寮母も務める原監督の妻である美穂さんからの「お前が走らないとだめなんだよ」という叱咤激励も受け、奮起。続く2年間の活躍で、青学大の連覇にも大きく貢献した。
「今年1年間は大きな故障もなく、過去2回、往路のゴールテープを切っているという経験もあったので自信を持って臨めました。これまでと比べても、メンタル面での成長は大きかったと思います」
後半は監督の声掛けも「全く記憶が無くて…」
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一方で、レースそのものを振り返ると大学生活で最後となる山上りは、これまでで「最もキツかった」と振り返る。
「走っている時はキツすぎてレース後半、全く記憶がなくて。監督からの声掛けもほとんど覚えていないんです。前半に状況の報告と言うか、前後とのタイム差を伝えられていたのは覚えているんですけど。『(最初の3kmで)離されているけど、前が速いだけだから』とかですね。後半は頭が回ってなかったというか、聞こえてなかったです」
その言葉を裏付けるように、レース後は低血糖と低体温で一度は取材を受けられずにテントに引っ込むほどに消耗していた。それだけ精魂を振り絞った激走だった。
「最後は若林が『若乃神、ここに降臨!』という形で頑張ってくれました」
その走りを、原監督も芦ノ湖でのゴール後には、そんな言葉で労った。