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「実は設定タイム通り」だった立教大“63年ぶり箱根駅伝シード権”届かず…監督は「私の読みの甘さ」予選会トップでも熾烈10位争い脱落のワケ
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/01/04 17:15
シード権争い集団から脱落して無念の表情でゴールした立教大10区・永井駿を迎えるチームメイト
「何とかいい流れを作りたいと思い、前がいたんで食らいついていきました。10キロまで区間3番ぐらいでいけましたし、思ったよりも粘れたのでよかったです。平林さんたちと走れて楽しかったですし、自分の自信にもなりました」
5区山本の無欲の走り
その後も、3区の稲塚大祐(4年)、4区の林虎大朗(4年)が粘りの走りを見せ、4区終わりでシード圏内まで14秒差の12位。あとは5区の山本に託した。
レース前の山本は、かなり控えめだった。
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「5区での理想のタイムは72分30秒、73分台を出せればいいかなという感じです。今年は平地でのアドバンテージがあると思うので、自分が稼ぐのではなく、最低限の走りが出来ればいいかなと思っています。これで競技生活が終わりになりますが、自分の利益よりもチームへの貢献が一番だと思っているので、自分が出るかどうかは二の次に考えています」
欲がないなと思ったが、山本は今シーズン、故障などで非常に苦しんだ。
苦しいシーズンから復調してきた山本
高林監督は「よく戻ってきた」という。
「山本は春に疲労骨折をして、その後、調子が戻らず、夏には音を上げたこともあったんです。その後も全日本や箱根予選会でみんな結果を出していく中、焦って気持ちが空回りしてしまうこともありました。でも、実績もあるし、待っているからという話をして、11月ぐらいから調子が上がってきたんです。最後は本人が4年間で一番いいというコンディションになり、今回も5区を任せました」
山本は大平台で順位を9位に上げ、小涌園前では8位に上げた。71分29秒と設定タイムを大きく超えて、8位でゴール。現役ラストランにふさわしい走りを見せ、復路にシード権獲得の襷を繋げた。
「山本は、期待に応えてくれて、すばらしい走りを見せてくれました」
5区まで会心のレースができた高林監督は、笑顔だった。