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「こいつら強かったな」なぜ中大は箱根駅伝で“想定の上限より上”の2位に? “ピクニックラン”狙う青学大・原監督に藤原監督の不敵「1年生、強いですよ」
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byNanae Suzuki
posted2025/01/03 06:04
藤原正和監督が「想定の上限より上」という2位に入った中大。5区の4年生・園木大斗を迎えるメンバーの表情は一様に明るかった
体をハードに追い込むポイント練習以外の1回のジョグの平均距離も12kmから15kmに変更したという。全体的な走り込みの量を増やし、選手たちにはこう言い続けた。
「去年区間賞を取った選手を予選会に回すよりも、その選手がいなくても予選会を通過するチームにしないと、箱根は厳しいよ」
だが、秋に試練が訪れた。予選会の戦力として計算していた主力選手まで故障などで離脱。すると、当初、メンバーに入っていなかった吉居が藤原に直訴してきた。
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「僕、準備はできていますよ」
主力を出し惜しみして予選会で敗退すれば批判は免れない。だが、藤原は信念を曲げなかった。
「お前抜きでも予選会を通れるようにしておかないと箱根は戦えないから」
予選会で起用した1年生は5人。大胆な用兵は将来を見据えた覚悟の表れだった。
「夏の練習が非常に良かったので、予選会を通らないことはないだろう、若手に経験を積ませた方が後々のチームにはいい、という判断があったのも確かです。吉居が4年生になった時に優勝を狙えるチームにしないといけないと考えていますから」
雌伏の時を経て、3強の国学院大、駒大に先着した。その手ごたえは惜しくも逆転優勝を許した青学大の強さについて聞いた時に滲み出た。
「若林君、あっぱれです」
そう脱帽した後、こう続けた。
「今年の4年生はすごくスカウティングがうまくいった世代でしたし、ずっと勝ちパターンを持ってらっしゃる。原監督の円熟味を帯びた指導が定着して、強いチームになっている。でも、我々もこれからは十分挑んでいけるし、来年、我々は勝負の年だと思っていますので、来年は絶対に勝ちたい。というか、明日、勝たないといけない」
「1年生、強いですよ」…藤原監督の不敵
そして、1分47秒差の2位でスタートする3日の復路について問われると不敵に笑った。
「いまの1年生、強いですよ。明日も2、3人使うことになると思う。見ていただければわかります。面白いと思います」
春に蒔いた種は復路でどんな花を咲かせるのだろうか。名門校の意地が光る1日になった。