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「米国から声が掛かれば…」ドイツで急成長の大型DFが“日本代表を選ばない”可能性は本当か?チェイス・アンリ20歳、記者の直撃に「正解はわからない」
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byGetty Images
posted2024/12/30 17:01
尚志高校を卒業後、ドイツに渡ったチェイス・アンリ(20歳)。今年8月にブンデスリーガデビューを飾った
この活躍を知れば、当然、日本代表への期待も膨らむ。まだ先輩たちの座を脅かすほどではないが、最近は冨安健洋や伊藤洋輝ら最終ラインに怪我人が続出している。今後、彼らのような選手たちが不在になる可能性はあり、多くのサポーターが「有望なチェイスに早く日本代表を経験させるべき」という声が上がることはわからなくもない。
ただ、チェイス待望論の裏にはもう一つ大きな理由がある。
チェイスの父はアメリカ人、つまり将来アメリカ代表を選択する権利があるのだ。日本で生まれたあとテキサスへ移住。中1の頃に帰国し、本格的にサッカーを始めた。福島県の名門・尚志高校では高校サッカー選手権にも出場した。いわば、日本サッカー育ちのチェイスが、一度アメリカ代表としてピッチに立てば、日本代表のユニフォームを着る権利を失ってしまう。ドイツでの活躍を横目に、焦れったい思いを抱く人が多いのも不思議ではない。
米メディアでもチェイス特集
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実際、先日『Goal』のUS版でこんな記事が出た。チェイスの飛躍は、ドイツを超えてアメリカにも届き始めている。
『台頭するシュツットガルトのCBチェイス・アンリがアメリカ代表と日本代表の双方から注目を集めている。彼はどちらを選ぶのか?』
そう題された記事では、チェイスの活躍を大々的に特集。プレースタイルや現状を紹介しながら、アメリカ代表への可能性についてこう記している。
『米国の視点からすると、チェイスはすでに競争の激しいCBの陣容に値する選手となっている。マーク・マッケンジー、ティム・リーム、クリス・リチャーズ、オーストン・トラスティー、キャメロン・カーター=ヴィッカース、マイルズ・ロビンソンらが候補として名を連ねているが、CBのポジションはまだ確定していない。チェイスが代表入りを決意すれば、すぐにもこの競争に加わることになるだろう』
アメリカ代表を指揮するマウリシオ・ポチェッティーノ監督は、チームへの参加を選手に懇願することはないとすでに明言しているが、二重国籍の選手とは話し合いを持つつもりだとも語っており、今後の動向は気になるポイントだ。